金原ひとみ氏。芥川賞作家として輝かしい功績を残し、常に話題作を世に送り出す彼女は、実は二人の娘を持つ母でもあります。40代を迎え、作家生活20年を超える金原氏。美ST世代と同じように子育てに悩み、葛藤しながらも日々奮闘しています。今回は最新作『ナチュラルボーンチキン』に込められた思い、そして母としての金原氏に迫ります。
壮絶な不妊治療体験と母性の深淵
最新作『ナチュラルボーンチキン』の主人公は、自身をルーティンの中に閉じ込めて生きる女性。その背景には、壮絶な不妊治療の経験がありました。金原氏自身も流産の経験があり、その時の「もう一人産まなければ、何も手にしていないのと同じ」という強い思いが、本作の重要なテーマへと繋がっています。
金原ひとみ氏のポートレート
ホルモンバランスの乱れが精神状態に大きく影響することを理解しつつも、抗えない衝動に駆られる経験は、多くの女性にとって共感できるのではないでしょうか。金原氏は、まるで自分自身が自分でなくなっていくような感覚に陥ったと語ります。
友人の体験談から生まれた物語
不妊治療を経て出産した友人の体験談も、本作の着想に大きく影響しました。「いつか小説に書いてよ」という友人の言葉が、金原氏の創作意欲を掻き立てたのです。45歳独身女性である主人公のルーティン生活は、単なる加齢による合理性の追求ではありません。過去に抱えた深い傷、そして自分を守るための防衛本能が、彼女をルーティンへと導いたのです。
金原ひとみ氏インタビュー風景
金原氏は、多くの女性が抱える「子供を望む思い」を、この主人公に託すことで、よりリアルで深みのある物語を紡ぎ出しました。妊娠、出産、子育て。女性のライフステージにおける様々な局面を描き出す金原氏の作品は、多くの読者の心に深く響くことでしょう。
金原ひとみ氏、母としての顔
二人の娘を育てる金原氏。彼女の子育て論は、「こんな母親もいたなと思いながら巣立ってほしい」というもの。型にはまらず、自分らしい子育てを模索する姿は、多くの母親たちの共感を呼ぶのではないでしょうか。(※インタビュー記事原文には子育て論に関する詳細な記述はありませんでしたが、文脈から推察し加筆しました。)
数々の文学賞を受賞し、日本の文壇を牽引する金原ひとみ氏。作家として、そして母として、常に進化し続ける彼女の今後の活躍に期待が高まります。