【ワシントン=田島大志】米国のトランプ次期政権で新設される「政府効率化省」のトップに就く実業家のイーロン・マスク氏らは20日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し、改革計画を明らかにした。最高裁判例を根拠にし、2026年7月までに大胆な規制撤廃と政府職員や支出の大幅削減を進める考えを示した。
寄稿は共同でトップに就く実業家ビベック・ラマスワミ氏との連名。政治任用でない官僚が行政機構を主導しているとし、「反民主主義的で建国の理念と正反対だ」と批判した。トランプ次期大統領も、官僚の腐敗を訴え、「ディープステート」(闇の政府)が政権を操っていると主張してきた。
両氏は、改革を進めるために立法に頼らず、最高裁判例を活用すると表明した。終身制の最高裁判事は9人中、トランプ氏が前政権中に任命した3人を含む6人を保守派が占めている。
寄稿では、環境保護庁による環境規制を「権限がなく不当」と判断した22年の最高裁判例を挙げ、「不正な規制から個人や企業を解放し米国経済を活性化させる」と強調した。規制の撤廃リストをトランプ氏に提示し、大統領権限で改革を進める手法も提起した。
その上で、「規制撤廃は、大規模な人員削減の正当な理由になる」とし、早期退職制度などを活用した連邦政府職員の大幅な人員削減を進める考えを示した。