エクソソニック社、革新的な超音速旅客機の開発を目指していたスタートアップ企業が、2024年11月、惜しまれつつも事業を停止しました。資金調達の難航、そして顧客からの関心の低さが、閉鎖の主な要因とされています。この記事では、エクソソニック社の挑戦と挫折、そして超音速旅客機の未来について深く掘り下げていきます。
夢の超音速旅客機:エクソソニックの挑戦
カリフォルニアを拠点とするエクソソニック社は、商業用・軍事用の超音速ジェット機開発に情熱を注ぎ、5年間挑戦を続けてきました。マッハ1.8という驚異的な速度で飛行可能な静音旅客機、そして戦闘機訓練用の無人超音速機の開発という、2つの壮大なプロジェクトを掲げていました。
alt
同社は、アメリカ空軍との契約締結や、飛行可能な小型試作機の開発など、数々の成果を上げていました。CEOのノリス・タイ氏は、Business Insiderのインタビューで、開発中の超音速旅客機は長距離移動の時間を大幅に短縮する画期的なものになると自信を見せていました。
コンコルドの壁を超える:音速ブームへの挑戦
エクソソニック社の重要なミッションの一つは、超音速飛行時に発生する「ソニックブーム」と呼ばれる衝撃波の低減でした。1976年に就航した超音速旅客機コンコルドも、このソニックブームが大きな障壁となり、陸上での超音速飛行が制限されていました。エクソソニック社は、この課題を克服し、新たな超音速時代の到来を目指していたのです。
資金調達と市場の逆風:閉鎖の背景
タイCEOは、資金調達の難航に加え、顧客からの関心の低さ、そして極超音速技術への注目度の高まりが、事業に悪影響を与えたと語っています。PitchBookのデータによると、エクソソニック社は2020年以降、約400万ドル(約6億2359万円)の資金を調達していましたが、継続的な資金不足を解消するには至りませんでした。
超音速市場の競争激化:生き残りをかけた戦い
超音速旅客機の開発には莫大な資金と高度な技術が必要とされます。現在、複数のスタートアップ企業がこの市場に参入し、熾烈な競争を繰り広げています。イリノイ大学の航空宇宙工学教授、マイケル・ブラッグ氏は、Business Insiderに対し、「新技術分野では、初期段階で多くの企業が参入する傾向があるが、市場がそれを支えきれない場合が多い」と指摘しています。エクソソニック社の撤退は、この厳しい現実を改めて浮き彫りにしました。
超音速旅客機の未来:夢は続く
エクソソニック社の事業停止は、超音速旅客機の実現を目指す業界にとって大きな痛手となりました。しかし、他の企業は開発を継続しており、夢の超音速旅行の実現に向けた挑戦は続いています。今後の技術革新と市場の動向が、超音速旅客機の未来を左右することになるでしょう。