【エルサレム=福島利之】イスラエル国防省は1日、イランとの12日間の交戦で同国から飛来した弾道ミサイルの86%を迎撃し、無人機の99%以上を撃墜したと公表した。迎撃で150億ドル(約2兆1500億円)分の資産の被害を防ぎ、無数の命を守ったとアピールしている。
イスラエルの防空システムは、外気圏からの長距離弾道ミサイルを迎撃する「アロー」、中距離用の「デイビッズ・スリング」、短距離ロケット砲や無人機に対応する「アイアン・ドーム」の3層構造になっている。イランから発射された500発以上の弾道ミサイルは主にアローで対応し、撃ち漏らしたミサイルや1000機以上の無人機をアイアン・ドームなどで迎撃した。
ただ、世界最先端の防空システムでも、全てのミサイルは迎撃できなかった。商都テルアビブ近郊を中心に約50発が着弾し、29人が死亡した。
攻撃面では無人飛行機が数千時間飛行し、イランを500回超にわたり攻撃した。衛星システムで昼夜を問わず数千万平方メートルを撮影し、イラン領内を捉えた1万2000枚以上の衛星画像を利用して数千の攻撃目標を設定した。イスラエル国防省のダニエル・ゴールド国防研究開発局長は「防衛産業と連携し、数十年かけて兵器システムを開発してきた」と説明している。