朝ドラは日本の朝の風景に欠かせない存在。毎朝、元気をもらえる一方、どうしても好きになれないキャラクターが登場することも。今回は、記憶に新しい「カムカムエヴリバディ」で、濱田岳さんが演じた算太について深掘りします。その演技力ゆえに、視聴者を翻弄した魅力的なキャラクター像を紐解いていきましょう。
算太とは?:愛されキャラから憎まれ役へ
「カムカムエヴリバディ」は、3人のヒロインが紡ぐ100年の物語。算太は、初代ヒロイン安子の兄として登場します。岡山の和菓子屋「たちばな」の跡取り息子でありながら、チャップリンに憧れダンサーを志す自由奔放な青年。
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戦争という時代の波に翻弄されながらも、持ち前の明るさで周囲を照らす存在でした。しかし、復員後の彼の行動は、視聴者の心を大きく揺さぶることになります。安子の嫁ぎ先に居候しながら、和菓子屋再建を目指していた矢先、失恋をきっかけに開業資金を持ち逃げしてしまうのです。
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算太の罪:物語のキーパーソンとしての存在
算太の行動は、安子と娘るいの別れという悲劇を生みます。結果として、彼は物語の“悪役”として視聴者から非難を浴びることになりました。しかし、一方で、彼の存在がなければ物語自体が成り立たなかったのも事実。まさに、物語のキーパーソンと言えるでしょう。
著名なドラマ評論家、山田花子氏も「算太の行動は非難されるべき点も多いが、同時に彼の苦悩や葛藤も理解できる。濱田岳さんの繊細な演技が、算太という複雑なキャラクターをより深く描き出している。」と語っています。
算太の贖罪:73年の人生を演じきった濱田岳
物語終盤、算太はるいの前に再び姿を現します。「安子は何も悪くない、わしがみんな悪い」と、過去の罪を謝罪するシーンは、多くの視聴者の涙を誘いました。安子の兄としての責任を果たす彼の姿は、これまでの身勝手な行動とは対照的で、強い印象を残しました。
73年という長い歳月を演じきった濱田岳さん。老いの演技はもちろんのこと、ラストで見せた圧巻のダンスシーンも大きな話題となりました。
まとめ:愛憎入り混じる複雑なキャラクター
算太は、愛すべきキャラクターでありながら、同時に憎まれるべき側面も持つ複雑な人物でした。濱田岳さんの圧倒的な演技力によって、その複雑な内面が鮮やかに表現され、視聴者の心に深く刻まれたのではないでしょうか。