米国、EUに30%関税発表 欧州首脳ら猛反発

【ブリュッセル、パリ時事】トランプ米大統領は12日、欧州連合(EU)に対し、8月1日から特定の製品に30%の追加関税を課す方針を発表した。この一方的な決定を受け、EU加盟各国の首脳からは強い反発の声が上がっている。米国によるこの高関税措置は、大西洋を挟んだ貿易摩擦をさらに深めるものと見られている。

フランスのマクロン大統領は自身のX(旧ツイッター)への投稿で、米国の発表について「極めて強い遺憾の意」を表明した。同氏は、合意が成立しない可能性に備え、「あらゆる手段を動員し、実効性のある対抗措置の準備を加速させるべきだ」と訴え、断固たる対応を取る構えを示した。スペインのサンチェス首相もXを通じて異議を唱え、「経済の開放性と貿易こそが繁栄をもたらす。不当な関税はそれを破壊する」と警告した。さらに、「EUは世界最大の貿易圏を構成しており、その力を生かして公正な合意を目指すべきだ」と述べ、連携して米国に対処する必要性を強調した。

米国とEUの貿易関係を示唆する画像米国とEUの貿易関係を示唆する画像

仏紙ルモンド(電子版)は、今回の30%関税の発表がEU側にとって「顔面への平手打ち」のような強い衝撃を与えたと報じた。これは、EUがこれまでの交渉で、5月に英国が米国と合意した内容にならい、幅広い製品に対する関税を一律10%とする方向で協議を進めてきた経緯があるためだ。しかし、今回トランプ大統領が実際に発表した関税率は、4月に当初示唆されていた20%を大きく上回る水準となり、EU側の期待を裏切る形となった。

欧州連合旗の前で会合するEU担当者たちの様子欧州連合旗の前で会合するEU担当者たちの様子

EUは今後の対応について、迅速な協議を開始する予定だ。具体的には、13日にブリュッセルで大使級会合を開催し、米国の関税措置に対する初期的な対応を話し合う。続いて14日には臨時の貿易担当相理事会を開き、より具体的な対抗策を含む対応方針を協議する予定となっている。この14日という期日は、米国による鉄鋼・アルミニウム関税に対するEUの報復措置の発動期限とも重なっている。そのため、実際に報復措置の発動に踏み切るかどうかも含め、EUは極めて難しい判断を迫られている状況にある。

米国の追加関税発表は、すでに存在する貿易摩擦を激化させ、今後の米EU関係に大きな影響を与えることが予想される。EUは結束してこの難局に対応する必要に迫られている。

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