アメリカとの関税交渉が難航する中、石破茂総理大臣は「なめられてたまるか」と強い言葉で主張しました。これは、日本時間8日にトランプ大統領が自身のSNSで明らかにした、新たな関税率を通知する石破総理宛の書簡に対するものです。
日米間の新たな関税措置に関する書簡を公表したトランプ大統領
トランプ大統領の書簡は「2025年8月1日から、分野別の関税を除き、アメリカに送り込まれるあらゆる日本製品にわずか25パーセントの関税を課します」(書簡一部抜粋)という内容で、これは4月に発表された日本に対する「相互関税」(一律10%とあわせて24%)から引き上げられた形となります。トランプ氏は書簡について「ほぼ最終的な提案だ」としつつも、「各国が別の方法を申し出てきた場合、われわれはオープンだ」と述べ、今後の交渉次第で見直しの可能性があることを示唆しました。9日に迫っていた相互関税の一時停止の期限は8月1日まで延長されましたが、これまでの交渉で自動車への関税などをめぐって隔たりは大きく、期限までギリギリの交渉が続けられることになります。
このトランプ大統領からの書簡について、国際政治学者の舛添要一氏は「なめられていると思う」と強く批判しました。正式な国と国のトップの手紙の中で「only、わずか(25パーセント)」という表現を使うことは「ありえない」とし、例えば戦争になって日本を占領すると言われた時に「北海道だけですよ、取るのは」と言われたらどう思うか、と比喩を用いて説明。このような表現を外交文書で使うのは「ありえない」ことで、日本が完全に「おちょくっているというか」と見解を述べました。
自民党の元衆議院議員・宮崎謙介氏は、書簡が出されたタイミングに注目し、日本側が交渉初期から参議院選挙中の回避を求めていた時期に、あえてトランプ氏が書簡を公開した点を問題視。まだ人間関係ができていない石破総理とトランプ大統領という「新顔同士」の間で、いきなり自分の弱みを見せるようなことを、最も嫌なタイミングでしてきたことは、外交上「ディールをやる上で絶対ダメなこと」だと指摘し、日米関係が「割とやばいところに来ているのではないか」と強い懸念を示しました。これに応じる形で舛添氏は、トランプ氏が本当に日本の同盟国として石破政権の継続を望むなら、参議院選挙が終わるまで一時停止を延長することもできたはずだとし、それをしなかったのは「全く石破総理を相手にせずという感じだと思う」との見方を示しました。
今後の日本政府としての対応について、舛添氏は「対応しようがない」との厳しい見方を示しました。これまで赤沢亮正経済再生担当大臣が7回にわたって訪米して交渉しても全く成果が出ていない現状に触れ、さらに大阪万博にベッセント財務長官が来られるからといって、その時にこの関税の問題をぶつけても、財務長官だけでオーケーが出せるわけがないから難しいだろうとコメントしています。
日米間の関税交渉は、トランプ大統領からの書簡により一層緊迫化しており、石破総理の強い姿勢や専門家の分析からも、日本政府が極めて困難な状況に置かれていることがうかがえます。今後の交渉の行方が注目されます。