ロシア、極超音速ミサイル「オレシニク」初使用を宣言 ウクライナ侵攻で緊迫度高まる

ウクライナ侵攻の長期化が続く中、ロシアのプーチン大統領が新たな局面を迎えた紛争の現状についてビデオ演説を行い、極超音速ミサイル「オレシニク」を初めて実戦で使用したと発表しました。この発表は国際社会に衝撃を与え、今後の戦況に大きな影響を与える可能性があります。本稿では、プーチン大統領の演説内容を詳しく解説し、今後の展望について考察します。

極超音速ミサイル「オレシニク」とは?

プーチン大統領は、ウクライナ東部ドニプロへの攻撃において、新型の極超音速中距離弾道ミサイル「オレシニク」を使用したと明言しました。オレシニクは、その速度と機動性から迎撃が非常に困難とされる兵器であり、今回の使用はロシアの軍事力誇示の意図が強く示唆されています。

altaltプーチン大統領のビデオ演説の様子。緊迫した表情でミサイル使用を宣言した。

ウクライナ空軍は以前から大陸間弾道ミサイル(ICBM)による攻撃の可能性を示唆していましたが、ロイター通信によれば米当局者は中距離弾道ミサイルとの見方を示していました。今回のプーチン大統領の発言により、その真相が明らかになったと言えるでしょう。

米英の長距離ミサイル供与への対抗措置か

今回の「オレシニク」使用は、米国がウクライナへの長距離兵器供与を容認し、ロシア本土への攻撃を黙認したことに対する報復措置と見られています。プーチン大統領は、米英の供与した長距離ミサイルがロシア西部に撃ち込まれたことを強く非難し、「地域紛争は世界的な性質を帯びた」と警告しました。

国際安全保障の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「今回のミサイル使用は、ロシアが更なるエスカレーションも辞さないという強い意志を示すものだ」と分析しています。

INF条約破棄と米国の「過ち」

プーチン大統領は、かつて米ロ間で締結されていた中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄について、米国側の責任を強く非難しました。INF条約は射程500~5500キロの地上発射型ミサイルを禁止するものでしたが、2019年にトランプ政権がロシアの違反を理由に破棄を通告し、失効に至っています。

プーチン大統領は、米国のこの決定が現在の緊張状態を生み出した一因であると主張し、米国が欧州やアジア太平洋地域への中距離ミサイル配備を計画していることにも強い懸念を示しました。

ロシアの今後の対応は?

プーチン大統領は、ロシアも対抗して中距離ミサイルを配備するかどうかは、「米国とその同盟国の行動次第」と述べ、今後の対応を慎重に見極める姿勢を示しました。

altaltウクライナ東部ドニプロの攻撃を受けた建物。被害の深刻さが伺える。

また、プーチン大統領は、ウクライナに兵器を供与した国々を標的に「ロシア製兵器を使用する権利がある」と警告し、更なる報復の可能性を示唆しました。

緊張高まる国際情勢

今回のプーチン大統領の演説は、ウクライナ侵攻をめぐる国際情勢の緊迫度をさらに高めるものとなりました。ロシアと西側諸国との対立は深まる一方であり、今後の展開が極めて不透明な状況です。

専門家の中には、外交交渉による事態の沈静化を呼びかける声も上がっています。今後の国際社会の対応が注目されます。