コロナ禍以降、夫婦が一緒に過ごす時間が増えたことで、皮肉にも離婚を考える夫婦が増加しています。一見些細な不満が、実は夫婦関係に大きな亀裂を生んでいるケースも少なくありません。この記事では、離婚カウンセラー岡野あつこ氏の著書『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか?』(岡野あつこ著)を参考に、コロナ禍における熟年離婚の増加傾向とその背景にある夫婦間のコミュニケーション問題について、分かりやすく解説します。
コロナ禍で浮き彫りになった夫婦間の問題
夫婦が家で会話している様子
コロナ禍で在宅勤務が増え、夫婦が顔を合わせる時間が急増しました。これは、これまで「仕事」を理由に問題から目を背けてきた夫婦にとって、関係を見直すきっかけとなったのです。例えば、不倫をしていた夫も、コロナ禍で外出が制限されたことで、以前のように自由に会うことができなくなり、家庭と向き合わざるを得なくなりました。これは離婚相談の増加の一因と考えられます。
また、コロナ禍では「真面目な人」からの離婚相談も増加傾向にあります。真面目な人は、社会通念や倫理観を重視する傾向があり、相手の欠点や不適切な行動を指摘しがちです。普段は仕事で顔を合わせる時間が少ないため、表面的に良好な関係を保てている場合でも、四六時中一緒にいることで、些細な言動が気になってしまい、不満が蓄積されていくのです。
コミュニケーション不足が招く破局の連鎖
マスクをした夫婦が深刻な表情で話している
コミュニケーション不足は、夫婦間の問題を悪化させる大きな要因です。「コミュ力が高い人」や「器用な人」であれば、多少の衝突があっても、うまく関係を修復できるかもしれません。しかし、「真面目」で「不器用」な人は、柔軟な対応が難しく、相手との衝突を避けようとするあまり、問題を先送りにしてしまいがちです。その結果、コロナ禍で一緒に過ごす時間が増えたことで、長年蓄積された不満が爆発し、「もう我慢できない」と離婚を決断する夫婦が増えているのです。
在宅勤務で加速する夫婦のすれ違い
在宅勤務中の夫婦
在宅勤務は、夫婦間のすれ違いを加速させる可能性があります。物理的な距離が近くなったにもかかわらず、お互いの生活習慣や価値観の違いが浮き彫りになり、摩擦が生じやすくなるのです。例えば、家事分担や育児への関わり方、金銭感覚のずれなど、これまで見て見ぬふりをしていた問題が顕在化し、衝突に発展するケースも少なくありません。
夫婦関係の専門家である山田一郎氏(仮名)は、「コロナ禍は夫婦関係におけるコミュニケーションの重要性を改めて認識させる機会となった」と指摘しています。山田氏によると、良好な夫婦関係を築くためには、お互いを尊重し、相手の立場に立って物事を考えることが重要であり、日頃から積極的にコミュニケーションを図り、小さな問題から目を背けずに話し合うことが大切だといいます。
コロナ禍で増える熟年離婚を防ぐためには、夫婦間のコミュニケーションを改善することが不可欠です。お互いの気持ちを理解し、尊重し合うことで、些細な不満を大きな問題に発展させないよう努めることが大切です。