逃亡犯・福田和子:15年の逃亡劇、その背景と人生の軌跡

愛媛県松山市で発生したホステス殺害事件。犯人の福田和子は15年もの間、逃亡生活を送った末、時効成立直前に逮捕されました。彼女の波乱万丈な人生、そして殺人に至るまでの背景には何があったのでしょうか?ノンフィクション作家、八木澤高明氏の著書『殺め家』を元に、福田和子の知られざる素顔に迫ります。

漂流の人生:故郷・今治での幼少期

福田和子の故郷、愛媛県今治市。かつてハーモニカ横丁と呼ばれた場所には、彼女の母親が経営するスナックがありました。売春宿でもあったその場所で、幼い福田和子は男と女の生々しい現実を目の当たりにして育ちました。

ハーモニカ横丁跡地の駐車場ハーモニカ横丁跡地の駐車場

川之江市(現・四国中央市)で生まれた彼女は、母親の再婚に伴い来島へ、そして今治へ。その後も高松、大洲市、松山と、転々と居場所を変え続けました。まるで腰を据えて暮らす場所を見つけられないかのように、人生の大半を漂流するように過ごしたのです。

犯罪と逃亡:波乱に満ちた道のり

高松では窃盗事件を起こし、服役。出所後、今治で結婚し大洲市へ移住するも、最終的には松山へ。そこで同僚ホステスを殺害し、金品を奪って逃亡生活を始めました。

15年間という長い逃亡期間。常に人の顔色を窺い、正体を隠し続ける生活は想像を絶する過酷さだったでしょう。しかし、幼少期から各地を転々としてきた経験が、この逃亡劇を可能にしたのかもしれません。

今治への特別な思い:故郷との繋がり

逃亡中、福田和子は一度今治を訪れ、長男と再会しています。故郷である今治には、彼女にとって特別な思いがあったのではないでしょうか。地元の人々もまた、福田和子に対してどこか温かい感情を抱いているように感じられます。

タクシー運転手の言葉が印象的です。「運が悪かった」「逃げ切れたら大金持ちだったろうに」「かわいそうや」。まるで我が事のように同情し、彼女の境遇を慮る言葉からは、地元の人々の福田和子に対する複雑な心情が垣間見えます。

逃亡生活で見せたしたたかさ:変装と偽名

福田和子は、巧みな変装と偽名を使い分け、15年間もの間、捜査の手から逃れ続けました。美容整形手術を受けたり、様々な職業に就いたり、その変幻自在さは驚くべきものです。「七色の女」と呼ばれたのも頷けます。

料理上手だった福田和子は、割烹料理店で働いていた時期もありました。料理研究家の〇〇氏(仮名)は、「福田和子の手料理は非常に繊細で、素材の味を最大限に活かしたものだったと聞いています。犯罪者である前に、一人の料理人としての才能を持っていたことは確かでしょう。」と語っています。

福田和子と彼女を演じた女優たち福田和子と彼女を演じた女優たち

福田和子の人生は、まさに波乱万丈。幼少期の環境、犯罪、逃亡、そして逮捕。その背景には、複雑な人間模様と社会の闇が隠されています。彼女の人生は、私たちに何を問いかけているのでしょうか。