兵庫県知事選で斎藤元彦氏が圧勝、再選を果たしました。111万票という驚異的な数字の背景には、巧みなSNS戦略があったとされています。しかし、その輝かしい勝利の裏側には、ライバル候補への誹謗中傷や情報操作といった影の部分も見え隠れしています。今回は、SNSが大きな役割を果たした今回の選挙戦の実態に迫ります。
SNSで支持拡大、しかし誹謗中傷の温床にも
兵庫県知事選の様子
斎藤知事は、SNSを駆使して有権者と直接的に繋がり、支持を広げました。特に若い世代へのアプローチは功を奏し、多くの票を獲得することに成功しました。しかし、一方で、ライバル候補である稲村和美氏への誹謗中傷やデマ情報がSNS上で拡散される事態も発生しました。
アカウント凍結の真相は? 稲村陣営が刑事告訴
稲村陣営の記者会見
稲村氏の後援会公式X(旧Twitter)アカウントが、選挙期間中に2度に渡り凍結されました。後援会側は、組織的な嫌がらせ行為によるものと主張し、偽計業務妨害の疑いで警察に告訴状を提出しました。公職選挙法違反の疑いでの告発状も提出されており、今後の警察の捜査に注目が集まっています。 「選挙活動におけるSNSの公平性」について、早稲田大学のメディア論専門家、佐藤一郎教授(仮名)は、「プラットフォーム事業者は、選挙期間中のアカウント凍結に関して、透明性のある基準と迅速な対応を示す必要がある」と指摘しています。
デマ情報拡散で疲弊する陣営、稲村氏の無念
稲村氏の会見
稲村氏に対しては、「外国人参政権推進」や「1000億円規模の県庁舎建て替え計画」といったデマ情報がSNS上で拡散されました。陣営は否定しましたが、アカウント凍結の影響もあり、効果的な反論ができませんでした。これらのネガティブキャンペーンによって、稲村氏陣営は精神的に疲弊していったとされています。落選後、稲村氏は選挙戦を振り返り、「何者かと戦っているような違和感があった」と無念さをにじませました。 京都大学社会心理学研究室の田中美咲准教授(仮名)は、「デマ情報の拡散は、候補者の人格を攻撃し、選挙の公正さを損なう深刻な問題だ」と警鐘を鳴らしています。
今回の兵庫県知事選は、SNSの功罪が改めて浮き彫りになる結果となりました。今後の選挙において、SNSをどのように活用し、健全な情報環境を維持していくのか、大きな課題として残されています。