ウクライナは18日、ロシアによる全面侵攻が始まってから最大規模のドローン(無人機)攻撃を受けたと発表した。いくつかの州が標的にされ、キーウ州では女性1人が死亡したとした。他方、同日にはヴァチカン市国とイタリア・ローマ市内で、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とアメリカのJ・D・ヴァンス副大統領およびマルコ・ルビオ国務長官が会談した。
ウクライナ空軍によると、ロシアは18日午前8時までに、ウクライナ中部キーウ州、東部ドニプロペトロウシク州、ドネツク州にドローン計273機を発射した。
うち88機はウクライナ空軍が迎撃し、128機は目標をそれたため「悪い結果はもたらさなかった」という。
キーウ州オブヒウ地区では、攻撃によって1人が殺害された。また、少なくとも3人が負傷し、うち1人は4歳の子どもだという。
ロシアによる17日夜からの攻撃について、ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領首席補佐官は、戦争をやめる意思がロシアにはないことを示すものだと主張した。
「ロシアにとって(16日の)イスタンブールでの交渉は見せかけに過ぎない。プーチンは戦争を望んでいる」
一方、ロシア軍も17日夜から翌朝にかけて、ウクライナのドローン25機を迎撃したと発表した。
ロシアによるウクライナへのドローン攻撃で、これまで最大だったのは、全面侵攻開始から3年目に当たる今年2月23日にあったものとされる。この時はドローン267機が発射された。
■米ロ大統領が電話で協議へ
ロシアとウクライナは16日、トルコで対面協議をした。ロシアとウクライナの前回の対面協議は、全面侵攻開始から間もない2022年3月末だった。今回の協議で両国は新たな捕虜交換で合意したが、それ以外にめぼしい成果はなかった。
19日には、アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との電話協議が予定されている。トランプ氏はこれまで、停戦を強く促している。
こうしたなか、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は18日、イギリス、フランス、ポーランドの首脳と共に19日朝、トランプ氏とオンラインで会談すると明らかにした。
これら4カ国の首脳らは今月10日にそろってウクライナを訪れ、「有志連合」が支持する30日間の無条件停戦の実現を呼びかけていた。
他方、ウクライナの情報機関は、ロシアが威嚇を目的に、大陸間弾道ミサイルの「訓練と戦闘」のための発射を計画している可能性があるとした。
ロシアはこの主張に反応していない。
トランプ氏は、ロシアとウクライナがトルコで対面協議をしたあと、自分がプーチン氏と直接会談するまで、和平は進展しないとの考えを示していた。
トランプ氏は30日間の停戦合意を提案しており、ロシアが応じなければ制裁を強化すると脅している。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、即時かつ無条件の停戦を求めるこの提案を、受け入れる用意があるとしている。
一方、ロシアは、ウクライナへの軍事物資供給が停止された場合のみ、戦闘の一時停止に同意するとしている。
プーチン氏はまた、停戦交渉では、戦争の原因が議論されなくてはならないとしている。ロシアは停戦の条件として、ウクライナの中立国化、軍の規模縮小、北大西洋条約機構(NATO)加盟の断念――などを挙げている。
ウクライナは、これは降伏に等しいとして拒否している。
ロシアは現在、ウクライナ領の約2割を掌握している。これには、2014年に不法併合した南部のクリミア半島も含まれる。
■教皇就任ミサを機に米ウ会談
ゼレンスキー大統領は18日、ヴァチカンを訪れ、新ローマ教皇レオの就任ミサに出席し、教皇と個別に会談した。さらに、アメリカのヴァンス副大統領やルビオ国務長官とも、ローマのアメリカ大使公邸で会談した。
ゼレンスキー氏はソーシャルメディアで、プーチン氏がトルコに送った「低レベル」の代表団の問題や、「ロシアに対する制裁の必要性」、和平の実現方法などについて、ヴァンス氏やルビオ氏と話し合ったと説明。
「ウクライナは本当の外交に携わる用意があり、全面的で無条件の停戦をできるだけ早く実現することが重要だと強調した」とゼレンスキー氏は書き、「ロシアが終戦したいと思うようになるまで、圧力が必要」だとして制裁などの必要性を指摘。そのうえで、「命を救うために支援しリーダーシップを発揮してくれるアメリカのすべての人たちに感謝する」と書いた。
(英語記事 Russia launched war’s largest drone attack ahead of Putin-Trump call, Ukraine says)
(c) BBC News