【ワシントン=淵上隆悠】米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領が日本時間19日深夜、電話で会談した。ホワイトハウス関係者が明らかにした。ロシアとウクライナの直接協議が不調に終わった中、トランプ氏には早期停戦に向けた糸口を探る狙いがある。プーチン氏が譲歩する可能性は低く、米露首脳の直談判が局面打開につながるかどうかは不透明だ。
米CNNによると、トランプ氏は2か月ぶりとなる米露首脳の電話会談に先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とも電話で会談した。トランプ氏は、プーチン氏との会談後にゼレンスキー氏と話すと説明していたが、まずはウクライナ側の主張を改めて確認した上で、プーチン氏との直接協議に臨んだ形となった。
トランプ氏は、プーチン氏との会談について、「ロシアとウクライナの兵士が命を落としている『流血の惨劇』を止める」ことが目的だと強調していた。対露制裁強化も示唆しつつ、早期停戦を改めて呼びかけるとみられる。キャロライン・レビット大統領報道官は19日、会談直前の記者会見で、「トランプ氏は、(ロシアとウクライナの)双方に疲れ果て、いら立ちを募らせている」と語った。
ロシアとウクライナは16日にトルコで3年ぶりに高官級協議を開き、1000人規模の捕虜交換に合意したが、停戦に向けた進展はなかった。露側は一方的に併合を宣言したウクライナ東・南部4州などの領土に固執する姿勢を崩していない。
タス通信などによると、露大統領府の報道官は19日、電話会談に先立ち、ウクライナ侵略の露側の呼称「特別軍事作戦」について、「ロシアは目標を達成する」と記者団に述べた。「もし米国の仲介で平和的手段が目標達成に役立つなら、ロシアはそれを望む」とも語った。露側の主張は変わらず、譲歩の余地が少ないことを示唆した。
トランプ氏の17日のSNS投稿によると、トランプ氏は19日、ゼレンスキー氏を交えて北大西洋条約機構(NATO)諸国の首脳らとも電話で協議する予定だ。