斎藤元彦兵庫県知事選の広報戦略に見るSNS活用の光と影

兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏の選挙戦におけるSNS戦略が物議を醸しています。PR会社merchu社長の折田楓氏が、自身のnoteで戦略の詳細を公開したことが発端となり、公職選挙法違反の疑いが浮上しました。本記事では、この騒動を通して、選挙におけるSNS活用の功罪を改めて考察します。

若手社長による革新的広報戦略

今回の選挙戦で斎藤知事は、政党や支援団体を持たない「お一人」からのスタートでした。そこで鍵となったのが、デジタルツール、特にSNSを駆使した広報戦略です。この戦略を担ったのが、若干32歳の若き社長、折田楓氏です。慶應義塾大学出身で、フランス留学経験もある才女は、メガバンク勤務を経て、地元兵庫でPR会社merchuを設立しました。

alt="斎藤元彦兵庫県知事と折田楓氏のツーショット写真。折田氏のnoteより。"alt="斎藤元彦兵庫県知事と折田楓氏のツーショット写真。折田氏のnoteより。"

折田氏は、知事選後、自身のnoteに広報戦略の詳細を記録として残していました。しかし、その内容が波紋を呼び、一部が削除される事態に。この行動が、かえって火に油を注ぐ結果となりました。

炎上した「#さいとう元知事がんばれ」大作戦

折田氏が提案したハッシュタグ「#さいとう元知事がんばれ」は、選挙期間中、多くの県民によって拡散され、斎藤氏の知名度向上に大きく貢献しました。SNS戦略の成功例として注目を集めたこのハッシュタグですが、その裏には、折田氏による綿密な戦略があったのです。

当初、noteには「#さいとう元知事がんばれ大作戦」と記されていましたが、後に「説明中」と修正されています。また、「広報全般を任せていただくことになりました」という記述も削除されました。これらの変更は、広報戦略への関与の度合いを薄める意図があったと推測されます。

alt="斎藤知事の選挙カーに同乗し、ライブ配信を行う折田楓氏。"alt="斎藤知事の選挙カーに同乗し、ライブ配信を行う折田楓氏。"

さらに、問題視されているのが、「SNS運用フェーズ」と題された図解資料です。「種まき」「育成」「収穫」といった表現を用いたこの資料は、「兵庫県民をバカにしている」といった批判の声が上がり、削除されました。

公職選挙法違反の疑い

広報戦略の企画立案を自ら明かしたことで、折田氏には公職選挙法違反の疑いがかけられています。選挙運動は有償で行ってはならないと定められていますが、PR会社社長である折田氏が、ここまで詳細な戦略を立案し、実行していたことを考えると、無償での活動とは考えにくいという指摘もあります。

例えば、著名な選挙コンサルタントであるA氏(仮名)は、「選挙におけるSNS戦略は重要だが、法令遵守が大前提。有償での活動は明確な違反であり、厳正な対処が必要だ」とコメントしています。

SNS活用と倫理のジレンマ

今回の騒動は、選挙におけるSNS活用の光と影を浮き彫りにしました。効果的な情報発信ツールとして注目される一方で、法令遵守や倫理的な側面への配慮が不可欠です。斎藤知事と折田氏には、疑惑に対する明確な説明責任が求められています。 今後の動向が注目される中、私たち有権者も、情報リテラシーを高め、発信される情報の本質を見極める必要があるでしょう。