兵庫県知事に再び就任して以来9カ月近くが経過した斎藤元彦氏(47)。彼を取り巻く内部告発文書問題は依然として収束の兆しを見せず、知事の強気の姿勢とそれに伴う言動は世間の注目を集め続けています。特に最近の記者会見での一幕や、第三者委員会の調査結果は、問題の根深さを示唆しています。
斎藤元彦兵庫県知事が内部告発問題に関する定例記者会見で発言する様子。
定例記者会見で露呈した「異例の対応」と記者の主張
2025年7月29日に実施された定例記者会見では、情報漏洩問題に関する「漏洩した情報がそのままになっているのではないか」との質問に対し、斎藤知事が「法令に則って要請している」と回答する場面がありました。しかし、この会見で特に波紋を呼んだのは、ある記者による異例の「主張」です。
この記者によると、7月22日の定例記者会見で、亡くなった元県民局長の遺族が給与を返納した件について質問したところ、その後、記者の会社にはクレームの電話が鳴りやまなくなり、結果として県政担当を外されたといいます。記者は会見の場で、「質問後すぐに炎上し、翌日には配置換えが決まる。このようなことが兵庫県では起きています。これを成功体験と捉え、ネットの人々がこぞって兵庫県に集まってくる。兵庫県はそうした“遊び場”と化している」と述べ、その上で、「いつも震源地にいるのは知事です」と直接的な批判を浴びせました。このあまりに率直な発言は、斎藤知事のこれまでの言動に関する証言を振り返ると、その背景が理解できます。
第三者委員会が指摘する「情報漏洩」と知事の反論
今年5月、兵庫県の第三者委員会は、一連の内部告発問題に関する調査結果を発表しました。ある在阪民放局の記者によると、知事を告発した後に自殺した元県民局長のプライベートな情報が外部に漏洩した問題について、第三者委員会は半年にわたる調査を行いました。その結果、元総務部長である井ノ本知明氏による情報漏洩が認定されただけでなく、斎藤知事が「漏洩を指示した可能性が高い」と指摘したのです。
これに対し、斎藤知事は「指示していない」という姿勢を一貫して崩していません。この事態を受け、6月には自民党、維新の会、公明党、ひょうご県民連合の4会派が、井ノ本氏を刑事告発するよう県に要請する事態に発展しています(『週刊新潮』2025年6月12日号に基づく加筆・修正)。知事の指示の有無を巡る対立は、この問題の核心であり続けています。
問題の複雑化と今後の展開
斎藤元彦兵庫県知事を巡る内部告発問題は、記者への異例の対応、情報漏洩疑惑、そして第三者委員会の調査結果など、多岐にわたる側面からその複雑さを増しています。知事と記者との間の緊張関係や、情報漏洩に関する刑事告発の動きは、今後の兵庫県政の行方を大きく左右する可能性があります。本件に関する透明性の確保と、事実に基づいた説明が強く求められる中、今後の展開には引き続き高い関心が寄せられることでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 兵庫県知事の「内部告発問題」で担当外された記者、会見で“逆襲” 「いつも震源地にいるのは知事です」と名指し批判 (参照元記事)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1917800206613a29f8bef6bf0c3f4e245d829e96