兵庫県知事選挙で、辞職したはずの斎藤元彦前知事が再選を果たしました。この予想外の展開に、多くの疑問の声が上がっています。40代以下の若年層を中心に斎藤氏への支持が集まり、当初優勢と見られていた野党系の稲村和美氏を圧倒しました。一体何が起こったのでしょうか?
SNSが選挙結果を左右?若年層の情報源の変化
今回の選挙結果を紐解く上で、SNSの影響力は無視できません。読売新聞の調査によると、SNSや動画投稿サイトを情報源とした有権者の9割が斎藤氏を支持していたとのこと。若年層が新聞やテレビから離れ、TikTokやYouTubeといったプラットフォームで情報収集する傾向が強まっている現状が浮き彫りになりました。
兵庫県知事選挙の告示日に第一声を上げる立花孝志氏
京都大学の曽我部真裕教授は、「旧来型のメディアでは有権者、特に若い世代に情報が届いていない」と指摘。兵庫県知事選は、有権者の情報源の世代間格差が選挙結果を左右したと言えるでしょう。
政策よりもナラティブ?地方選挙の新たな潮流
一方で、地方選挙における有権者の投票行動にも課題が見られます。曽我部教授は、地方選挙では有権者が政策や候補者について十分な知識を持たず、「なんとなく」投票しているケースが多いと指摘。新潟大学の鈴木正朝教授も、地域社会における政治的な議論の減少が、有権者の共通認識の喪失につながっている可能性を示唆しています。
京都大学の曽我部真裕教授(右)と新潟大学の鈴木正朝教授
さらに、近年の選挙戦では、政策よりも候補者の物語性(ナラティブ)が重視される傾向にあります。公職選挙がマーケティングの対象となり、組織票や地域票だけでは勝てない時代へと変化していると言えるでしょう。
選挙とネット、憲法とプラットフォーム規制の未来
兵庫県知事選を契機に、選挙とインターネット、憲法とプラットフォーム規制の関係性について議論が深まることが期待されます。民主主義の根幹である選挙の在り方が、メディア環境の変化とともに問われていると言えるでしょう。
まとめ:変化する情報環境と選挙の未来
今回の兵庫県知事選は、SNSの影響力の増大と、地方選挙における有権者の投票行動の変化を改めて示す結果となりました。 情報化社会において、民主主義を健全に保つためには、有権者一人ひとりが情報リテラシーを高め、主体的に情報を選択していくことが重要です。