兵庫県知事選は斎藤元彦知事の再選で幕を閉じましたが、選挙戦で異彩を放ったNHK党の立花孝志氏をめぐる騒動は収束どころか、新たな展開を見せています。立花氏の過激な言動が波紋を広げ、ついに刑事告訴にまで発展する事態となっています。
選挙後の「報復」宣言と新たな火種
立花氏は選挙期間中、斎藤知事を批判した22人の市長への「報復」を宣言。来年4月の宝塚市と伊丹市の市長選に「刺客」を送り込むと表明し、早くも次の選挙戦への布石を打っています。
立花孝志氏が演説している様子
こうした挑発的な姿勢は、メディアの注目を集める一方で、批判の声も高まっています。選挙期間中の言動を問題視する声も少なくなく、今後の政治活動に影を落とす可能性も否定できません。
百条委員会委員長への脅迫疑惑と刑事告訴
立花氏は、百条委員会委員長を務める奥谷謙一県議に対し、自宅兼事務所前での街頭演説で脅迫めいた発言をしたとして、名誉毀損で刑事告訴されることになりました。奥谷氏は、立花氏の発言により恐怖を感じ、実母も自宅から一時避難したと訴えています。
この件に関して、立花氏は「正当な選挙活動」だと主張し、逆に奥谷氏を名誉毀損で提訴する構えを見せています。しかし、奥谷氏は立花氏の発言に脅迫の意図があったと反論しており、法廷闘争に発展する可能性も出てきました。
捜査当局の動きと立花氏の法的知識
警察関係者によると、捜査当局は以前から立花氏の資金の流れなどを調査していたものの、立件は難しいと判断していたようです。立花氏は法律の抜け穴を熟知しており、法的にギリギリのラインで活動しているため、捜査は難航するとみられています。
立花孝志氏
例えば、今回の県知事選で斎藤氏を応援した行為について、公職選挙法違反の疑いが指摘されましたが、立花氏は「斎藤知事に一票を入れてください」といった直接的な表現を避け、「これでいいんですか?」という言い回しをするなど、巧妙な手段で法律の網をかいくぐっています。
南あわじ市長選出馬表明と選挙の「劣化」
立花氏は、来年1月の兵庫・南あわじ市長選への出馬を表明。現時点では他に立候補者はおらず、無投票当選の可能性も視野に入れています。
このような立花氏の行動に対し、政界関係者からは選挙の「劣化」を懸念する声が上がっています。7月の東京都知事選では、NHK党が多数の候補者を擁立し、ポスター掲示板をジャック。広告ビジネスを展開したことも物議を醸しました。
こうした状況を打開するため、捜査当局は奥谷氏の刑事告訴を受理し、名誉毀損だけでなく脅迫容疑でも捜査を進める方針です。立花氏自身も「不当逮捕の可能性」を口にするなど、予断を許さない状況が続いています。
今後の展開と波紋
兵庫県知事選は終わりましたが、立花氏をめぐる騒動はまだまだ続きそうです。今後の捜査の進展や裁判の行方によっては、政界全体に大きな波紋を広げる可能性も考えられます.