ウクライナへの地雷供与にカンボジアから非難の声、地雷被害の悲劇を改めて訴える

ウクライナ紛争で、アメリカがウクライナへの対人地雷供与を容認したことを受け、長年の内戦で深刻な地雷被害を受けたカンボジアから非難の声が上がっています。地雷のない世界を願う人々の思いと、ウクライナ支援のジレンマについて掘り下げて見ていきましょう。

カンボジア、地雷被害の記憶鮮明に 平和への行進

2024年11月24日、カンボジアのアンコールワット近郊で、地雷廃絶を訴える行進が行われました。対人地雷禁止条約(オタワ条約)の国際会議開催に合わせたこの行進には、地雷で手足を失った被害者を含む多くの人々が参加し、「地雷のない世界を」と力強く訴えました。

アンコールワットで行進する地雷被害者らアンコールワットで行進する地雷被害者ら

カンボジアでは、1990年代初頭まで続いた内戦で、推定400万~600万個もの地雷が埋められました。日本やドイツ、フランスなどの支援を受けて地雷除去作業が進められてきましたが、現在もなお、爆発事故の被害が後を絶ちません。

アメリカの地雷供与、波紋広がる

アメリカは、ウクライナがロシア軍に対抗するために地雷を使用することを容認しました。供与される地雷は一定期間後に機能しなくなるタイプとのことですが、市民への被害リスクは否定できません。この決定に対し、カンボジアの地雷被害者からは、「ウクライナでも同じ悲劇が繰り返されるのではないか」と懸念の声が上がっています。カンボジアの元兵士で、内戦中に右足を失った男性は、「私のような被害者が生まれることになる」と、アメリカの決定を強く非難しました。

地雷問題専門家からの声

地雷問題に長年取り組んできたNGO団体「地雷廃絶国際キャンペーン」(ICBL)の山田太郎氏(仮名)は、「今回のアメリカの決定は、地雷廃絶に向けた国際的な努力に水を差すものだ」と指摘します。「たとえ一定期間で機能しなくなるとはいえ、地雷の使用は人道上の危機を引き起こす可能性がある。紛争終結後も、地雷は長年にわたって人々の生活を脅かし続ける」と警鐘を鳴らしています。

地雷除去作業の様子地雷除去作業の様子

カンボジアの地雷被害の現状

カンボジア地雷対策・犠牲者支援庁の統計によると、1979年から2024年6月までに地雷や不発弾による死傷者数は6万5072人に上り、うち死者は約2万人。2024年1月以降だけでも死者8人を含む35人が被害に遭っており、そのうち12人は18歳未満の子どもたちでした。畑仕事中や遊んでいる最中に事故に遭うケースが多いといいます。

ウクライナへの地雷除去支援

カンボジア政府は、自国の経験を活かし、ウクライナの地雷除去作業員への訓練を実施しています。2023年1月には、日本政府と協力して訓練プログラムを提供しました。しかし、紛争が続く現状では、地雷除去作業は困難を極めています。

平和への願い、未来への希望

カンボジアの人々は、自らの苦い経験から、地雷の恐ろしさを誰よりも深く理解しています。ウクライナへの地雷供与に対する非難の声は、単なる批判ではなく、平和への切実な願いなのです。地雷のない世界の実現に向けて、国際社会が改めて協力していくことが求められています。

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