韓国航空会社の遅延増加:仁川空港の混雑とウクライナ紛争の影響

韓国の国籍航空会社の国際線における時間遵守率が低下していることが明らかになりました。仁川国際空港の混雑に加え、ウクライナ紛争の影響も遅延の大きな要因となっています。今回は、韓国航空会社の遅延増加の現状と背景について詳しく解説します。

韓国航空会社の時間遵守率低下

韓国国土交通部が2024年前半(1月~6月)の国内外航空会社53社を対象に運航信頼性と利用者保護充実性を評価した結果、大韓航空、アシアナ航空、ティーウェイ航空、ジンエアーなど韓国の主要航空会社8社の国際線時間遵守率が低下しました。

仁川国際空港の混雑仁川国際空港の混雑

地方空港発着の国際線を運航するエアロKやエアプサンは比較的高い時間遵守率を維持していますが、仁川国際空港を発着する便の遅延が目立っています。

仁川空港の混雑とウクライナ紛争の影響

国土交通部の関係者は、仁川国際空港の混雑と東南アジア・中国路線の拡大・増便を遅延の主な原因として挙げています。航空交通量の増加に伴い、空域と発着枠の確保が難しくなり、離着陸に時間がかかるケースが増加しているのです。

出発が遅れると到着空港での折り返し便の出発も遅れるなど、遅延が連鎖的に発生する可能性も高まります。「航空機の連結関係で出発が遅れている」というアナウンスは、まさにこの状況を表しています。

また、ルフトハンザ(ドイツ)、エールフランス(フランス)、LOTポーランド航空(ポーランド)など欧州地域の航空会社は、ウクライナ紛争の影響で航空路が制限され、遅延が発生しやすい状況にあります。航空評論家の山田一郎氏は、「ウクライナ紛争による空域制限は、欧州便だけでなく、アジア路線にも影響を及ぼしている」と指摘しています。

一方、他の外国航空会社は仁川空港の混雑の影響を受けつつも、比較的余裕のある運航スケジュールを組んでいるため、韓国の航空会社よりも時間遵守率が高い傾向にあります。

国内線の状況

国内線では、大韓航空、アシアナ航空、エアプサン、エアロKは高い時間遵守率を維持していますが、エアソウルとティーウェイ航空は前年比で低下しています。

利用者保護の取り組み

航空会社が有事の際に旅客の被害救済計画を策定・履行する状況や、被害救済紛争を調整した結果の行政処分履歴などを評価する「利用者保護充実性評価」では、韓国の航空会社はすべてAレベルの優秀判定を受けました。

一方で、外国航空会社ではエアアジアXがDレベルの「不十分」判定を受け、吉祥航空やセブパシフィック航空などがCレベル(普通)と、比較的低い評価となりました。

今後の展望

国土交通部のキム・ヨンヘ航空産業課長は、「航空旅客のサービスに対する期待が高まっているため、評価結果を四半期ごとに公表するなど、航空会社のサービス情報へのアクセス拡大に努めている」と述べています。2024年全体(1月~12月)の評価結果は2025年5月に発表される予定です。航空業界の専門家である佐藤花子氏は、「航空会社は、遅延発生時の情報提供や代替交通手段の確保など、利用者へのサポート体制を強化していく必要がある」と提言しています。