東ちづる氏、高市早苗氏へのコメントで炎上:トランプ外交巡る議論の波紋

2025年10月28日に行われた高市早苗首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領による日米会談、そして翌29日の米海軍横須賀基地訪問時における高市首相の振る舞いが、連日主要ニュースとして取り上げられ、政界と世論双方で大きな議論を巻き起こしています。このような渦中の29日、女優の東ちづる氏が自身のX(旧Twitter)に投稿したコメントが、瞬く間に炎上騒動へと発展しました。東氏は高市首相の名前こそ明示しなかったものの、特定の政治家に対して「女性だからこそ、その業界では特に、媚びと過剰適応でのし上がってきたと想像できる」と辛辣な言葉を投げかけ、これが「女性蔑視である」「差別的すぎる」といった批判をSNS上で集める結果となっています。

高市早苗氏の“トランプ外交”が招いた波紋

東ちづる氏の発言の背景には、間違いなく高市首相がトランプ大統領と行った一連の外交的姿勢があると考えられます。特に注目を集めたのは、会談中にトランプ大統領のノーベル平和賞推薦に言及したことや、大統領の腕を組んで歩く姿でした。そして何よりも、大勢の米兵の前でトランプ大統領に「彼女こそ勝者だ!」と紹介された際、高市首相が満面の笑みで手を挙げ、何度も飛び跳ねるようなオーバーリアクションを見せたことが、決定打となったと報じられています。

一部メディアは、こうした一連の過度な“迎合”とも受け取れる振る舞いを「露骨なまでのヨイショ外交」と評しました。東氏のSNS投稿も、こうした首相の姿勢に対する皮肉として解釈されたようです。この外交スタイルが高市首相のリーダーシップ、特に女性政治家としての振る舞いについて、多様な意見や評価を生むきっかけとなりました。

東ちづる氏のコメント「媚びと過剰適応」が炎上した背景

高市首相の外交姿勢に端を発する議論の中、東ちづる氏がXに投稿した「女性だからこそ、その業界では特に、媚びと過剰適応でのし上がってきたと想像できる。大変だっただろう。が、現立場上は対外的にも堂々と振る舞ったほうが益になったはず。残念。」というコメントは、特定の層から強い反発を招きました。特に「媚びと過剰適応でのし上がってきた」という表現が、女性が社会で成功する過程を矮小化し、性差別的な見方をしているとの批判がSNS上に殺到したのです。

女優の東ちづる氏が、高市早苗氏へのコメントを巡る炎上騒動で注目を集める姿。女優の東ちづる氏が、高市早苗氏へのコメントを巡る炎上騒動で注目を集める姿。

SNS上では、「何を根拠にそのようなことを言うのか」「女性が成功すると、同じ女性が『女の武器を使ったに違いない』と言うのは明らかな性差別だ」「必死に努力を重ねてきたすべての女性に対する、大変差別的で失礼な投稿だ」「女性だからこそ、なぜ『媚びる』となるのか」といった声が相次ぎ、東氏の発言が多くの女性の共感を呼ぶどころか、むしろ強い怒りを買う結果となりました。多くのユーザーは、想像で他者の努力を貶める姿勢を厳しく非難しています。

「まぜこぜの社会」を目指す東氏の意図と世論の相違

東ちづる氏は以前から「政治は生活、誰が発言してもいい」というスタンスで、積極的に政治的発言を行ってきました。しかし今回の炎上は、単なる政治批判に留まらず「ジェンダーに基づくパーソナルな攻撃」と受け止められてしまった点が大きな問題として浮上しています。特に「媚びと過剰適応でのし上がってきた」というフレーズは、男性優位の社会で苦労して地位を築いてきた女性全般に対する否定的な視線と重なり、多くの女性たちから憤りを買う結果となりました。女性の成功を努力ではなく、旧態依然とした“媚び”に結びつける見方は、日本の社会に残る根深い偏見そのものだと指摘されています。

誰も排除しない「まぜこぜの社会」を目指す一般社団法人『Get in touch』の理事長を務める東ちづる氏の発言が、かえって性差別的な議論を招くことになった今回の事態は、公的な発言の難しさ、そして多様な価値観が交錯する現代社会におけるコミュニケーションの課題を浮き彫りにしています。女性リーダーとして活躍する東氏の今回のコメントが、最終的にどれほどの共感を得られるのか、その行方は引き続き注視されるでしょう。

参考文献