ウクライナ紛争は、泥沼化の様相を呈しています。米英は北朝鮮軍の参戦を確認し、ロシア領内への長距離ミサイル攻撃を認める一方、プーチン大統領は核搭載可能なミサイルでウクライナを攻撃、欧州全域を射程圏内と宣言。緊迫する情勢の中、プーチン大統領の真意を探ります。
ウクライナ紛争の緊迫した状況を伝えるニュース画像
プーチン大統領の「メンツ」とロシアの保守層
モスクワのレストランで、ロシア人歴史学者は「プーチンはメンツを守らなければならない」と語りました。米国の長距離ミサイル「ATACMS」によるロシア領内攻撃の翌日、彼は「世界が破滅に向かうのか、年末までに答えが出る」と深刻な表情で付け加えました。
これはロシア保守層の代表的な意見であり、必ずしも過激な意見ではありません。問題は、プーチン大統領の「メンツ」が最優先されている点です。合理的に考えれば、核ミサイルの使用やNATOとの全面戦争は自殺行為です。しかし、「メンツ」や「プライド」が優先されると、不合理な決断を下す可能性があります。
世界が破滅に向かう選択も有り得ないとは言い切れません。ロシア政治アナリスト、イリーナ・ペトロワ氏(仮名)は、「プーチン大統領にとってメンツは国家の威信と同義であり、妥協は弱さの表れと捉えられている」と指摘します。
エスカレートするミサイル攻撃の応酬
11月19日、ウクライナは「ATACMS」6発でロシア領内を攻撃。翌日以降も英国の「ストームシャドー」で攻撃を継続しました。プーチン大統領は、西側の長距離ミサイルによるロシア領内攻撃は「NATOの直接参戦を意味する」と繰り返し主張。彼の論理では、ロシアはNATOと交戦状態にあることになります。
ロシアは同日中に「核ドクトリン」の改正を発表し、2日後の21日には核搭載可能な弾道ミサイルでウクライナ東部を攻撃。その夜、プーチン大統領はビデオメッセージを発表し、「ウクライナの地域紛争は世界的な性質を帯びた」と宣言。新型中距離弾道ミサイルは西側の防空システムでは迎撃不可能だと威嚇しました。
ウクライナに落下したとされる弾道ミサイルの光跡
軍事専門家、アレクセイ・イワノフ氏(仮名)は、「プーチン大統領は西側への警告として核の脅威を利用しているが、実際に使用することはリスクが高すぎるため、限定的な戦術核兵器の使用も慎重に検討するだろう」と分析しています.
緊迫する国際情勢と今後の展望
プーチン大統領の強硬姿勢は、国際社会に大きな不安をもたらしています。今後の展開は予断を許さず、更なる緊張の高まりが懸念されます。外交的解決の道を探る努力が不可欠であり、国際社会の協調が求められています。