ロシア国防省は、ウクライナ軍による米国供与の長射程地対地ミサイル「ATACMS」攻撃で被害を受けたことを発表し、波紋を広げています。この異例の発表の裏には何があるのか、詳しく見ていきましょう。
ロシア国防省の発表:ATACMS攻撃による被害と報復を示唆
ロシア国防省は2024年11月26日、ウクライナ軍が3日間で計13発のATACMSでロシア領内を攻撃し、負傷者が出たと発表しました。ロシア側が自軍の被害を公表するのは異例であり、その背景には報復攻撃の正当化を図る狙いがあるとみられています。
ウクライナ軍が発射したとされる米国製ATACMSの残骸
具体的には、11月25日にクルスク州ハリノの空軍基地がATACMS8発で攻撃され、防空システムで7発を撃墜したものの1発が命中し、軍人2人が負傷したと主張。また、23日にも同州ロタレフカ付近で防空ミサイル部隊がATACMS5発の攻撃を受け、うち2発が命中したと発表しました。
クルスク州への攻撃:北朝鮮軍関係者を標的に?
英紙フィナンシャル・タイムズや米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、ウクライナ軍がクルスク州でロシア軍と共に活動する北朝鮮軍関係者を標的に攻撃を行っている可能性を報じています。フィナンシャル・タイムズによると、先週、ウクライナ軍は英製長距離巡航ミサイル「ストームシャドー」でマリノを攻撃し、北朝鮮軍の将官1人が負傷、将校数人が死亡したとのこと。ウクライナ側は、クルスク州に点在する北朝鮮軍関係者を狙って攻撃していると説明しています。
ウォール・ストリート・ジャーナルも、ウクライナ軍の攻撃で北朝鮮軍高官が負傷したと報じています。ウクライナの情報によると、北朝鮮からは将官3人、将校500人がロシアに派遣され、兵士1万人以上がクルスク州に展開しているとのことです。
長射程地対地ミサイル「ATACMS」
ロシアの今後の動向:報復攻撃の可能性と緊張の高まり
ロシア国防省は「報復攻撃を準備している」と表明しており、今後の動向が注目されます。ウクライナ紛争の長期化に加え、北朝鮮の関与も指摘される中、更なる緊張の高まりが懸念されます。
今回のロシア国防省による被害公表は、国際社会へのアピールと同時に、国内世論の結束を図る狙いもあると考えられます。今後のロシアの動向、そしてウクライナ紛争の行方から目が離せません。