ラブロフ外相「ロシア抜きで安保協議は妄想」ウクライナ安全保障巡り米欧を強く牽制

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は20日、モスクワでの記者会見において、ウクライナの「安全の保証」に関する協議からロシアを排除しようとする試みを強く批判しました。ラブロフ外相は、「ロシア抜きで安全保障の問題を真剣に協議しようとすることは妄想だ」と述べ、いかなる安全保障の枠組みにおいてもロシアの関与が不可欠であるとの立場を明確に示しました。この発言は、ウクライナの安全保障枠組みに関する議論を加速させている米国や欧州、そしてウクライナに対し、ロシアの意向を無視しないよう強く牽制するものです。

「安全の保証」におけるロシアの不可欠性

ラブロフ外相は、ウクライナの「安全の保証」の実現には、国連安全保障理事会の常任理事国であるロシア、中国、米国、英国、フランスなどが「平等の立場」で参加することが絶対条件であると主張しました。これは、国連安保理における拒否権と同様に、ロシアが提案を覆すことができるような枠組みを想定している可能性を示唆しており、ロシアが自身の利益を確保するための強力な影響力を求める姿勢が浮き彫りになりました。

モスクワで記者会見を行うロシアのセルゲイ・ラブロフ外相。ウクライナの「安全の保証」に関するロシアの立場を表明。モスクワで記者会見を行うロシアのセルゲイ・ラブロフ外相。ウクライナの「安全の保証」に関するロシアの立場を表明。

NATO加盟と地上部隊派遣への警告

ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍部隊がウクライナに配備されることに断固として反対しています。現在提案されている安全保障の案には、英国、ドイツ、フランスなどが地上部隊を派遣し、米国が航空支援を行うというものも含まれています。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は月内に関連文書に署名すると主張していますが、ロシア側は自国の意向が反映されないまま協議が進むのを阻止したい考えです。ラブロフ外相は、「我々は正当な利益を断固として確保する」と強調し、ウクライナのNATO加盟を拒否するロシアの従来の立場を改めて表明しました。

プーチン・ゼレンスキー直接会談への慎重姿勢

プーチン露大統領とゼレンスキー大統領による直接会談に関しては、ラブロフ外相は「交渉の集大成となるべきであり、最大限に綿密な準備が必要だ」と述べ、早期の開催は困難であるとの見解を示しました。これは、両国間の深い溝と、実質的な進展に向けた地ならしの必要性を改めて浮き彫りにしています。

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の一連の発言は、ウクライナの将来的な安全保障体制を巡る国際社会の議論に対し、ロシアが強い影響力を行使しようとする姿勢を明確に示すものです。特に、国連安保理の枠組みを模範とした平等な参加と拒否権の可能性への言及は、今後の交渉の難しさを予感させます。ウクライナと欧米諸国が安全保障の文書化を進める中で、ロシアが自国の「正当な利益」としてウクライナのNATO加盟を拒否する立場を堅持していることは、和平への道のりがいまだ多大な課題を抱えていることを示唆しています。

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