2021年10月、神奈川県立こども医療センターで起きた痛ましい医療事故。術後5日目に男児が亡くなったこの出来事は、県民に大きな衝撃を与え、病院の隠蔽体質や医療ガバナンスの欠如を浮き彫りにしました。遺族の深い悲しみと悔しさ、そして再発防止への切実な願いを受け、私たちは今、何が起きたのか、そして今後どのように医療の質を向上させていくべきかを真剣に考えなければなりません。
医療事故の背景と病院側の対応
当時入院していた男児は、術後に発熱、下痢、嘔吐などの症状を示しましたが、病院側は適切な対応をとることができませんでした。経験の乏しい医師に患者管理を任せ、院内コミュニケーションも不十分だったことが指摘されています。さらに、心肺蘇生開始の遅れも問題視されています。
神奈川県立こども医療センターの外観
事故後、病院内では調査報告書が作成されましたが、その存在は神奈川県議の小川久仁子氏の追及によって初めて明らかになりました。さらに、情報公開請求に対して病院側は大部分を黒塗りで開示するという隠蔽体質を見せています。こうした対応は、医療機関としての責任を放棄し、患者とその家族を深く傷つけるものです。
県議会による追及と組織改革への取り組み
小川県議は、2023年度を通して県議会でこの問題を追及し続けました。病院側の隠蔽体質や医療ガバナンスの欠如を厳しく批判し、組織改革の必要性を訴えました。その結果、こども医療センターの病院長は降格、懲戒処分となり、機構理事長の交代を含む機構人事の刷新も行われました。2010年の地方独立行政法人化以降、これほど大規模な人事異動は初めてのことです。
遺族の思いと医療の未来
亡くなった男児の父親は、「子供の容態が悪くなってきた時の看護師さんの対応や事故後の遺族対応についての実際はもっとひどかった」と述べ、深い悲しみと悔しさをにじませています。同時に、「今後、私たちのように苦しむ人が出ないよう病院改革をお願いいたします」と、再発防止への切実な願いを訴えています。
神奈川県立こども医療センター内部
私たちは、この悲劇を教訓として、医療の質の向上に真摯に取り組まなければなりません。患者中心の医療を実現するために、透明性の確保、医療ガバナンスの強化、そして医療従事者の倫理観の向上に努める必要があります。
県立病院への信頼回復に向けて
今回の医療事故は、県立病院に対する信頼を大きく揺るがすものでした。医療機関は、人々の命と健康を守るという重大な責任を負っています。その責任を果たすためには、常に患者の立場に立ち、最善の医療を提供することに尽力しなければなりません。
医療安全対策の徹底、医療従事者の教育研修の充実、そして患者とのコミュニケーションの強化など、具体的な対策を講じることで、県立病院への信頼回復を図る必要があります。また、医療事故が発生した場合には、迅速かつ誠実な対応を行い、再発防止に努めることが不可欠です。
私たちにできること
医療事故を防ぐためには、医療機関だけでなく、私たち一人ひとりの意識改革も重要です。医療に関する情報を積極的に収集し、自身の健康管理に努めること、そして医療従事者と良好なコミュニケーションを築くことが大切です。
今回の医療事故を風化させることなく、より安全で質の高い医療の実現に向けて、共に歩んでいきましょう。