実業家の堀江貴文氏(52)が22日、東京・墨田区に位置する情報経営イノベーション専門職大学で開催された特別授業にゲストとして登壇し、フジテレビおよびその親会社であるフジ・メディアホールディングス(HD)の清水賢治社長(64)との公開対談を行いました。この対談は、「メディアの未来と社会の共創」をテーマとして掲げ、情報社会におけるメディアの役割と可能性について深く掘り下げられました。堀江氏は、フジ・メディアHDの株主でもあり、6月の株主総会にも出席していたため、清水社長とは既に顔を合わせていることを明かしています。対談の中で堀江氏は、日本が長年にわたり経済的な商機を逸している領域、すなわちネットを通じたオンラインベッティングについて具体的な数字を交えながら言及しました。
日本のオンラインベッティング市場の現状と海外流出
堀江氏は、日本から海外へ流出しているオンラインベッティング関連の金額が「約6兆円にも上る」と指摘し、その規模の大きさに驚きを示しました。同時に、国内のスポーツベッティング市場は約10兆円と推計されており、これは競馬や競輪といった公営ギャンブルを含む数字です。堀江氏によれば、国内で賭けの対象とならない「マイナースポーツ」に関しては、そのベッティングが海外へと流れている現状があるとのことです。
情報経営イノベーション専門職大学の特別講義で登壇し、オンラインベッティングの合法化について語る堀江貴文氏
現状、ネットを介した賭け行為は日本の現行法で違法とされており、近年では著名なお笑い芸人やプロ野球選手がオンラインカジノを利用したことで問題が表面化しました。しかし堀江氏は、主要7カ国(G7)の中でオンラインベッティングを法的に解禁していないのは「日本だけ」であると強調しました。
G7唯一の未解禁国・日本とメディアとの親和性
堀江氏は、オンラインベッティングとメディアとの親和性が非常に高いことを力説しました。その理由として、「ベッティングからの収入がスポーツコンテンツに流れる」という構造を挙げ、メディアとスポーツ産業の共生モデルの可能性を示唆しています。具体例として、ABEMAが提供する競輪・オートレースのネット投票サービス「ウィンチケット」を挙げ、「ABEMAが最も収益を上げているのはそこだ」と述べ、その成功を高く評価しました。
堀江氏は続けて、フジテレビのオンデマンドサービスである「FOD」に目を向け、「そこはFODでできたんじゃないですか?FODで全国の競馬中継などをやれたはずです」と清水社長に直接的な提案を行いました。これに対し、清水社長は「今からでもできる」と述べ、オンラインベッティングの合法化とそれに伴う新たなビジネスチャンスに強い関心を示しました。
フジテレビへの提言と今後の展望
堀江氏は改めて、「6兆円もの資金が流出している現状を鑑みれば、早急に日本国内で合法化し、免許制を導入して実行に移すべきだ」と強く主張しました。さらに、「これからコンテンツやレジャーが不足してくる」という見方がある中で、「まだスポーツコンテンツは足りない」という認識を示しました。この不足を解消するためにも、マイナースポーツなどをスポーツベッティングを通じて収益化し、コンテンツを増やしていく必要があると訴えました。堀江氏の提言は、単なるギャンブルの合法化に留まらず、新たな経済圏の創出、メディアコンテンツの多様化と質の向上、そして国内への資金還流といった多角的な視点から、その必要性を問いかけるものでした。
参照元
https://news.yahoo.co.jp/articles/90165ff12339cca9459e0694b4ea91518363d6ee