松下洸平が、地上波連ドラ単独初主演と聞いていまさら?と感じてしまう。これはほんとうに、意外すぎる!
毎週土曜日よる9時から放送されている『放課後カルテ』(日本テレビ)が、正真正銘、松下洸平の単独初主演ドラマなのだ。これまでの出演作品と連動しつつ、ひと味違って、松下の演技が新鮮に感じられるのはどうしてか?
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、地肌そのもののような演技と感じる本作の松下洸平を解説する。
意外過ぎる単独初主演
『放課後カルテ』の松下洸平は、これが地上波連ドラで単独初主演である。えっ、うそ。ほんと? 主演クラスの役回りがこれまでにたくさんあったから、わざわざ「単独」なんて言葉を持ちだすと、意外過ぎるんだよなぁ。
れっきとした単独初主演作を前にこちらは襟を正して第1話冒頭を見始めてしまう。画面に初登場する主人公・牧野峻(松下洸平)は、ポケットに手を突っ込んでやや重い足取り。小学生たちが追い越していくと、橋の上に立ちどまる。ワンカット目からすでにいい感じ。
どこへ向かっているかというと、学校医として保健室に常駐することになる東多摩第八小学校に初登校するためである。この初登場場面の初登校をテンポよく描くことで、松下洸平の単独初主演感が、手際よく丁寧に整備されていく。
天然素材系キャラから路線変更
全校集会の場面。赴任挨拶をする峻だが、「保健室にはなるべくこないでもらいたい」と粗暴にちゃちゃっと済ませる。解散後、クラス担任の篠谷陽子(森川葵)から注意を受ける。それでも態度を変えず、今度はさらに「怖がるやつは怖がらせておけばいいでしょ」とどすを効かせる。
こういうやさぐれた感じの松下洸平もいいなぁ。(全出演作を見ているわけでないが)近年、松下が演じるキャラクターはしっとりやわらかな天然素材系が多くなった。ここにきてちょっとしたキャラの路線変更は新鮮である。
天然素材系キャラは、川口春奈との共演作『9ボーダー』(TBS、2024年)で集大成だったというか、ひとつの区切りになったんじゃないかな。さらにいうと、金子ありさの脚本が、松下からシルキーな上質素材だけを見事に刈り取ってみせたのではないか。