北朝鮮からの脱北者、カン・ギュリさん(24歳、仮名)への独占インタビューをjp24h.comがお届けします。平壌での裕福な暮らしから韓国ドラマへの憧れ、そして命がけの脱北を決意するまでの心の葛藤、束草での温かい歓迎まで、彼女の波乱万丈な人生を紐解きます。
平壌での生活と韓国ドラマへの憧れ
平壌体育大学で卓球選手として活躍していたカンさんは、特権階級層の出身で比較的裕福な家庭環境で育ちました。しかし、配給制度が崩壊し、市場経済が浸透した北朝鮮社会では、お金が全てを解決する現実を目の当たりにしてきました。大学でも賄賂が横行するなど、社会の歪みに疑問を抱いていたカンさんにとって、韓国ドラマは心の支えでした。「冬のソナタ」「相続者たち」「梨泰院クラス」など数々の作品に夢中になり、特に「キム秘書はいったい、なぜ?」は脱北前夜まで見続けたほどのお気に入りだったそうです。
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韓国文化への取り締まりと若者世代の反発
一方で、北朝鮮当局による韓国文化への取り締まりは厳しく、街中では携帯電話のメッセージをチェックされ、韓国風の言葉を使っただけで罰せられることもありました。韓国ドラマを見た若者が公開裁判にかけられるなど、恐怖政治が蔓延する社会に息苦しさを感じていたカンさんは、同世代の若者たちの本音も代弁しました。「当局に盲従しないのが私たちの世代の特徴。韓国ドラマを見て処刑されるかもしれない恐怖よりも、自由への憧れの方が強い」と語っています。 食糧事情の悪化や経済的困難に加え、文化的抑圧も脱北の大きな要因となっていることが伺えます。日本の北朝鮮問題専門家、佐藤健氏(仮名)は、「若者世代の意識変化は、北朝鮮社会の変革の兆候と言えるでしょう」と指摘しています。
命がけの脱北と束草での温かい歓迎
2023年10月、カンさんは両親と事業仲間と共に木造船で咸鏡南道の港を出港。警備艇の追跡を受けながらも、44時間後には韓国東海岸の束草に到着しました。韓国の漁民に「脱北か?」と尋ねられ、「そうです」と答えると、「よく来た」と温かく迎え入れられた時の感動は忘れられないと語っています。夜明けの束草のアパートの明かりを見て、「真っ暗な世界から光あふれる世界へ来たようだった」と表現するカンさんの言葉には、希望に満ちた未来への期待が込められています。
韓国への理解不足と情報発信の重要性
カンさんは、「北朝鮮の人々は韓国が先進国であることは知っていても、韓国の人々が脱北者を同胞として受け入れ、市民権を与えてくれることは知らない。この情報格差が問題だ」と訴えています。 韓国の支援団体「ハナ会」代表の朴美淑氏(仮名)は、「北朝鮮の人々に正確な情報を届けることが、更なる脱北を支援することに繋がる」と述べています。
新しい人生への希望
韓国での新たな生活をスタートさせたカンさん。彼女の人生は、北朝鮮の現状を私たちに伝えるとともに、自由を求める人々の勇気を示す証でもあります。jp24h.comは、今後もカンさんのような脱北者たちの声に耳を傾け、北朝鮮の人権問題について発信していきます。