ロシアによる核の脅威が世界を揺るがす中、もし実際にアメリカ主要都市に核攻撃が行われたらどうなるのか、多くの人が不安を抱いていることでしょう。この記事では、核兵器専門家であるスティーブンズ工科大学のアレックス・ウェラースタイン教授が開発した核爆発シミュレーションツール「NUKEMAP」を用いて、その被害規模を検証します。ロシアが保有する史上最大級の大陸間弾道ミサイル「R-36M2」(NATOコードネーム:SS-18サタン)による攻撃を想定し、その衝撃を明らかにします。
NUKEMAPによる衝撃的な被害予測
NUKEMAPは、核爆発による被害範囲と規模を視覚的にシミュレーションできるツールです。今回は、R-36M2に搭載可能な最大級の2万キロトン核弾頭が、アメリカ主要都市上空で爆発した場合を想定しています。原子力科学者会報によると、都市への核攻撃では空中爆発がより現実的なシナリオとされています。
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爆発の中心地:すべてが蒸発する灼熱地獄
爆発の中心地(NUKEMAP上の黄色い円)では、数百万度の熱によってあらゆるものが瞬時に蒸発します。その範囲は、およそ39平方キロメートルにも及びます。
爆風と火災:広範囲に及ぶ破壊
中心地周辺の濃いグレーの円(約1145平方キロメートル)では、爆風によって高層ビルを含む建物が倒壊し、広範囲にわたる火災が発生すると予測されます。
熱放射:広範囲に及ぶ重度の火傷
オレンジ色の円(約6110平方キロメートル)は、熱放射の影響範囲を示しています。この範囲内にいる人は、皮下組織にまで達する重度の火傷を負う危険性があります。神経も損傷するため痛みを感じない場合も多いですが、深い傷跡が残り、切断手術が必要となるケースも想定されます。
爆風の影響:窓ガラスの破損など
一番外側の薄いグレーの円(約9040平方キロメートル)では、爆風の影響は比較的軽微ですが、窓ガラスの破損などにより負傷者が出ると考えられます。
主要都市における被害規模の試算
ニューヨーク:壊滅的な被害
ニューヨークでは、影響範囲内に約1625万人が居住しており、爆発直後に約545万人が死亡、約560万人が負傷すると推定されます。ニュージャージー州ニューブランズウィックやコネティカット州スタンフォードも被害を受ける可能性があります。
ワシントンD.C.:首都機能の麻痺
首都ワシントンD.C.では、影響範囲内に約607万人が居住しており、爆発直後に約163万人が死亡、約202万人が負傷すると推定されます。連邦議会議事堂や最高裁判所も壊滅的な被害を受けると予測されます。
ロサンゼルス:大都市圏の壊滅
ロサンゼルスでは、影響範囲内に約1209万人が居住しており、爆発直後に約275万人が死亡、約436万人が負傷すると推定されます。サンタモニカ、カラバサス、ロングビーチ、ポモナなども被害範囲に含まれます。
高まる核戦争の懸念
ウクライナ紛争の長期化に伴い、核戦争の可能性が現実味を帯びてきています。プーチン大統領は核兵器使用のハードルを下げる核ドクトリンの改定を行い、緊張が高まっています。ウクライナによるロシア領内へのミサイル攻撃、北朝鮮兵士のロシアへの派遣など、事態は緊迫しています。
ウクライナへの核兵器配備の噂も囁かれる中、アメリカ政府はこれを否定していますが、今後の動向に注視する必要があります。専門家の間では、核戦争のリスクは冷戦以来の高まりを見せているとの見方もあり、国際社会の対応が求められています。
まとめ:核の脅威に備える重要性
NUKEMAPを用いたシミュレーションは、核攻撃の恐ろしさを改めて浮き彫りにしました。都市部への核攻撃は、想像を絶する規模の被害をもたらし、甚大な人的被害、都市機能の麻痺、社会経済の崩壊など、深刻な影響を及ぼすことが予想されます。核兵器の脅威を現実のものとして捉え、国際的な平和と安全保障の維持に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていく必要があるのではないでしょうか。