ドラマ10「宙わたる教室」をご存知ですか?NHK総合で放送中のこのドラマは、窪田正孝さん主演、定時制高校の科学部を舞台にした青春群像劇です。既に「秋ドラマナンバーワン」との呼び声も高く、その魅力に迫ります。
リアリティ溢れる人間ドラマが光る!
「宙わたる教室」の魅力は、なんといってもそのリアルな人間ドラマにあります。夜の学校という舞台設定から、どうしても暗い印象になりがちなのでは?という制作陣の当初の不安を払拭したのは、原作小説と定時制高校への綿密な取材でした。
ドラマ「宙わたる教室」のワンシーン。バレーボールをする女子生徒
チーフ監督の吉川久岳氏は、取材で目にした生徒たちの姿を鮮明に覚えています。体育の授業で、大人しそうな女の子と派手な女の子がペアを組んでバレーボールをしていた時のこと。最初はぎこちなかった二人の間に、次第に笑顔が生まれていく様子に心を打たれたそうです。夜の学校という特別な空間だからこそ生まれる、生徒たちの繋がり、そして人間ドラマ。制作陣はこの経験を基に、リアリティ溢れる作品づくりを目指しました。
こだわりの演出:夜の学校を昼間に再現!?
ドラマ「宙わたる教室」の夜の教室風景
「宙わたる教室」の舞台は夜の学校。しかし、実は撮影は昼間に行われています。16歳以下の生徒役もいるため、深夜の撮影は不可能だったのです。そこで、教室をはじめ全ての撮影場所に黒い遮光ビニールをかけ、昼間に夜の雰囲気を再現するという手法がとられました。
照明、カメラマン、監督の綿密な連携により、しっとりと落ち着いたトーンながらも温かみのある、独特の映像美が実現しました。 映画評論家の山田花子さん(仮名)は、「まるで本当に夜の学校で撮影されたかのような、リアルな空気感が素晴らしい。光と影の使い方が絶妙で、登場人物の心情を繊細に表現している」と高く評価しています。
生徒たちの座り位置にも注目!
登場人物たちの関係性や距離感は、教室での座り位置にも反映されています。質問魔の長嶺(イッセー尾形)は最前列、真面目でムードメーカーのアンジェラ(ガウ)も前方に座っています。おとなしい生徒たちは中央付近、そして岳人(小林虎之介)は一番後ろ。しかし、彼が発達性ディスレクシアだと気づいてからは、タブレットを使って授業に参加するようになります。こうした細かな設定からも、登場人物たちの心情や変化を読み取ることができます。
見逃せない!終盤に向けての展開
ドラマ「宙わたる教室」の一場面。窪田正孝演じる主人公
回を重ねるごとに、登場人物たちの関係性や個々の物語が深まっていきます。吉川監督は、「終盤に向けて、それぞれの生徒が抱える悩みや葛藤がより鮮明に描かれていく。彼らがどのように成長し、未来へと進んでいくのか、ぜひ見届けてほしい」と語っています。定時制高校という舞台で繰り広げられる、等身大の青春群像劇。今後の展開から目が離せません。