さよならワンダーラビット騒動:映画「ブリグズビー・ベア」との類似点で物議、公開停止へ

近年の漫画界で著作権に関する議論が白熱する中、新たな火種が投じられた。「となりのヤングジャンプ」で公開された読切漫画「さよならワンダーラビット」が、映画「ブリグズビー・ベア」との酷似性を指摘され、公開停止に至るまでの経緯を詳しく見ていこう。

引きこもりの少女と架空の番組:類似点の指摘

「さよならワンダーラビット」は、引きこもりの少女・ルナが両親の死をきっかけに、心の支えだった番組「ワンダーラビット」が両親の手作りだったことを知る物語。一方、「ブリグズビー・ベア」は、外界から隔離された青年・ジェームズが、愛する番組「ブリグズビー・ベア」が誘拐犯である両親による偽物だったと知る物語。

altalt「さよならワンダーラビット」掲載時の告知画像 (となりのヤングジャンプ公式Xより)

両作品には、主人公が両親を失う、偽物の番組の存在、番組の主人公が動物の着ぐるみ風であることなど、多くの共通点が見られる。番組の続編を友人と共に制作しようとする展開や、作中に登場する月をモチーフとしたキャラクターなど、細部にわたる類似点も指摘されている。

パクリかオマージュか:SNSで波紋広がる

これらの類似点に対し、SNS上では「パクリ」との批判が噴出。「オマージュの域を超えている」「原案とした旨の記載がないのは問題」といった声が上がり、作者および出版社の説明責任を求める声も多数見られた。

映画評論家の山田太郎氏(仮名)は、「インスピレーションを受けることは創作活動において自然なことだが、ここまで設定や展開が酷似していると、オリジナル作品への敬意が欠けているように感じられる」とコメント。著作権問題に詳しい弁護士の佐藤花子氏(仮名)も、「著作権侵害にあたるかどうかは、裁判所が個別に判断することになるが、類似点が多いことから、訴訟に発展する可能性も否定できない」との見解を示した。

集英社側の対応と今後の課題

批判の高まりを受け、集英社は「編集部内での確認が十分でなかった」として「さよならワンダーラビット」の公開を停止。しかし、判断基準の詳細は明らかにしていない。

altalt「ブリグズビー・ベア」のポスター画像

今回の騒動は、漫画制作における著作権意識の重要性を改めて問うものとなった。創作の自由と著作権保護のバランスをどのように保っていくのか、今後の漫画界にとって大きな課題と言えるだろう。

まとめ:創作と著作権の狭間で

「さよならワンダーラビット」の公開停止は、創作活動における原案の扱い、オマージュとパクリの境界線、そして出版社の責任など、多くの論点を提起した。今後の漫画界における同様の事態を防ぐためにも、関係者全体で議論を深めていく必要があるだろう。