日本テレビ系の人気バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』公式サイトは7月7日、お笑いコンビ「ロッチ」の中岡創一が番組ロケ中に負傷したことを発表しました。これは、2022年にも中岡が同番組の企画で負傷しており、日テレグループ内では2024年にも別の撮影事故が発生していることから、同局の安全管理体制に対する疑問の声が上がっています。
番組ロケ中の負傷と日テレの謝罪
発表によると、中岡は7月4日にベトナムで行われた『ロッチ中岡のQtube』企画のロケ中に負傷しました。モーターボートを使った撮影で、お尻を強く打ったとのことです。撮影はすぐに中止され、病院での診察の結果、「第2腰椎圧迫骨折の疑い」と診断され、全治数カ月の見込みとされています。中岡は2022年にも同じ企画の撮影中に右足関節外踝(くるぶし)を骨折し、全治2カ月の怪我を負った過去があります。
今回の事故を受け、日本テレビは公式サイトで謝罪文を掲載。「怪我をされた中岡さんをはじめ、関係者の方々、ご迷惑をおかけした皆様に、心よりお詫び申し上げます。今後は、あらゆる角度からの安全確認をより一層徹底し、再発防止につとめ、番組制作を進めてまいります」と表明しました。
『世界の果てまでイッテQ!』の企画で負傷したロッチの中岡創一氏
繰り返される事故と視聴者の厳しい声
しかし、X(旧Twitter)などのSNS上では、今回の事故を受けて日本テレビに対する批判的な意見が相次いでいます。「またかというかやっぱり何も反省してない日テレであった」「日テレのいう『再発防止』って一体何なの」「相変わらず危ないこと演者にさせてるんだな」「タレントが怪我するような企画をやめないのは制作会社員に丸投げで日テレのコンプライアンス/ガバナンスが効いてないからでしょ」など、過去の事故から何も改善されていないのではないか、安全への意識が低いのではないかといった厳しい声が多く見られます。
日テレグループ内では、今回の事故からわずか1年も経たないうちに、別の撮影現場でもタレントが負傷する事故が発生していました。2024年9月には、グループ会社「HJホールディングス」が制作したドラマ『おとなになっても』の撮影中に、照明器具が落下し、主演の山本美月と麻生祐未が負傷したことが発表されています。山本は頭部外傷、頭部挫創で約1週間の通院加療、麻生は頸部挫傷、頭部外傷で約2週間の安静加療と診断されました。この照明落下事故は、「死んでもおかしくない」とSNS上で大きな批判を呼び、制作現場の安全性が厳しく問われることになりました。
求められる徹底的な安全管理体制の見直し
日本テレビは2024年9月の定例社長会見でも、Huluドラマでの事故に言及し、当時の石澤顕社長は「日本テレビグループの一員の制作ドラマの現場で事故が起きたので、再発防止についてしっかりと検討を進めなければいけない事案」だと強調していました。しかし、そのわずか数カ月後に人気バラエティ番組で再び出演者が重傷を負う事故が発生したことは、日テレグループ全体で過去の反省が生かされていないのではないかという疑念を招く結果となっています。『イッテQ』では2022年にも中岡が負傷しており、同じ番組、同じ出演者が繰り返し事故に遭う状況は、制作側の責任が重大であると言わざるを得ません。
中岡自身は7月7日に自身のインスタグラムを更新し、「私、ロッチ中岡にとって、本気になって我も忘れて夢中で挑める番組があることは、本当に何にも代え難い幸せな事です。そんな番組で怪我した事に、何の後悔もございません」と、番組への愛情とプロ意識を感じさせるコメントを発表しています。しかし、出演者の意欲や覚悟とは別に、安全な環境で番組を制作することは放送局の最低限の責務です。1年もたたないうちに負傷事故を繰り返した日本テレビには、グループ全体で徹底的な安全管理体制の見直しと強化が強く求められています。
参考資料