韓国経済、1%台成長の悪夢…迫り来る低成長の「ニューノーマル」

韓国経済の成長率が鈍化し、低成長が常態化する「ニューノーマル」への懸念が高まっています。この記事では、韓国経済の現状と課題、そして未来への展望について詳しく解説します。

経済成長率の低迷:深刻化する韓国経済

韓国銀行は、2023年の実質経済成長率見通しを2.2%に下方修正しました。2024年は1.9%、2025年は1.8%と、2%を下回る見通しが続いています。これは一時的な景気低迷ではなく、長期不況の始まりを告げるものかもしれません。

2000年以降、韓国経済は5年ごとに1ポイント程度成長率が低下しています。通貨危機後の2001~2005年は年平均5.02%でしたが、2016~2020年は2.28%にまで落ち込みました。このままでは、2020年代後半には1%台の低成長が「ニューノーマル」として定着する可能性があります。

韓国の経済成長率の推移韓国の経済成長率の推移

潜在成長率の低下:経済の基礎体力が弱まる

さらに深刻なのは潜在成長率の低下です。潜在成長率とは、物価上昇を招くことなく達成可能な最大成長率のことです。韓国銀行は、年末までに新たな潜在成長率を発表する予定ですが、これまでの2%前後から1%台に引き下げられる可能性があります。これは、韓国経済の基礎体力が弱まっていることを示唆しています。

韓国銀行が提出した資料によると、GDPギャップ率は2020年からマイナスが続いています。GDPギャップ率とは、実質GDPと潜在GDPの差を潜在GDPで割った値で、マイナスであれば実質GDPが潜在GDPを下回っていることを意味します。専門家の中には、これは短期的な景気下降ではなく、長期的な構造的景気低迷の可能性があると指摘する声もあります。

韓国のGDPギャップ率の推移韓国のGDPギャップ率の推移

輸出依存と財政制約:成長の足かせ

韓国は輸出依存度が高く、昨年のGDPに占める輸出の割合は35.7%に達しています。しかし、世界的な保護貿易主義の台頭により、輸出による成長は限界に達しつつあります。

また、政府と家計の負債が危険水域に達しており、財政出動による景気刺激策も難しい状況です。

未来への展望:構造改革とイノベーション

韓国経済の未来を切り開くためには、輸出の質を高めると同時に内需を回復させる必要があります。専門家は、1970年代の重化学工業、1990~2000年代のIT産業のように、AI、先端半導体、電気自動車などの第4次産業革命への構造転換が不可欠だと指摘しています。同時に、労働市場改革、年金改革、教育改革、少子化対策など、幅広い分野での改革が必要です。

韓国の輸出入の推移韓国の輸出入の推移

さらに、政治のリーダーシップによる構造改革も重要です。政治と経済の健全な関係を築き、企業の競争力を高めるための政策を推進していく必要があります。

韓国経済は大きな岐路に立たされています。低成長の「ニューノーマル」を打破し、持続的な成長を実現するためには、大胆な改革とイノベーションが求められています。