ウクライナ紛争で、まるで第一次世界大戦を彷彿とさせるような光景が再び出現しました。旧ソ連製の練習機Yak-52が、オデーサの空に戻り、ロシア軍のドローン狩りを再開したというのです。今回は、このユニークな戦術とその背景について詳しく見ていきましょう。
ドローンハンターYak-52、オデーサ上空に舞い戻る
11月26日、オデーサ上空でYak-52が目撃されました。1970年代に製造されたこのレシプロエンジン機は、前部にパイロット、後部におそらくショットガンを構えた射手を乗せ、ロシア軍の偵察ドローン「オルラン-10」を標的にしていたと報告されています。ウクライナ海軍軍人のアカウント「Катран(カトラン)」によると、Yak-52は戦闘中に燃料を補給するため着陸を余儀なくされたとのこと。それでも、5時間の飛行で少なくとも1機のオルラン-10を撃墜したとされています。
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経済的なドローン迎撃手段としてのYak-52
オルラン-10は、オデーサ上空を飛行し、目標の位置情報をロシア軍砲兵部隊に伝達、ミサイル攻撃を誘導する役割を担っています。1機あたり約1500万円もするオルラン-10に対し、Yak-52の1時間の飛行コストは数百ドル程度。費用対効果の面で、Yak-52は極めて効率的なドローン迎撃手段と言えるでしょう。航空軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「Yak-52の運用コストの低さは、ウクライナ軍にとって大きなメリットです。限られた資源を有効活用し、高価なドローンに対抗できる革新的な戦術と言えるでしょう」と述べています。
Yak-52の戦果とウクライナ軍の戦略
Yak-52のオデーサ上空での活動は、今年7月以来確認されていませんでした。しかし、それ以前の3ヶ月間で、Yak-52は少なくとも12機のロシア軍ドローンを撃墜したとされています。その戦果は、機体側面に刻まれた撃墜マークによって示され、”ドローンハンター”としてのYak-52の有効性を物語っています。
国産機でのドローン迎撃も視野に
Yak-52の成功を受け、ウクライナ国防省情報総局は、国産のアエロプラクトA-22軽量スポーツ機を使ったドローン迎撃も検討し、射手の訓練を開始したとのこと。ウクライナ軍は、様々な手段を駆使してロシア軍のドローンに対抗しようとしています。
Yak-52の復活は、ウクライナ軍の抵抗の象徴
Yak-52の復活は、ウクライナ軍の創意工夫と抵抗の象徴と言えるでしょう。旧式の練習機が最先端のドローンと戦うという異例の光景は、世界に強い印象を与えています。今後の戦況にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。