昔といまを比べると、腎臓病の常識は大きく変わりました。たとえば、以前は「腎臓が弱い人は運動なんかしないで安静にしているほうがいい」「腎臓病になったら非常に厳しい食事制限に耐えなくてはならない」「腎臓病はいったん悪くしたらよくならない」といったことが当たり前とされていました。
しかし、これらはすべてウソ。いまは腎臓病の人も適度な運動をするほうがいいとされていますし、食事もちょっとした工夫で普通の人と変わらないものが食べられるようになっています。もちろん「腎臓病はよくならない」というのも誤りで、「腎臓リハビリ」というメソッドを実行すれば、着実に進行を抑えたり病状を回復させたりできるようになっているのです。
この「腎臓リハビリ」のメソッドの提唱者として、従来の腎臓治療の“誤った常識”を大きく変えてきたのが上月正博・東北大学名誉教授。上月教授は、新著『腎臓大復活』の中で、腎機能を強化して人生をよみがえらせていくためのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その上月教授が「腎臓寿命を延ばすための水分の摂り方」について解説します。
■トイレを気にして水分を控えていませんか?
「冬、寒くなるとトイレが近くなる」と感じている人はかなり多いのではないでしょうか。
みなさんの場合はどうでしょう。なかには、普段から「夜中にトイレに起きるのは嫌だから、寝る前の水分摂取は控えておこう」「この頃トイレが近いから、出かける前に水分を摂るのはやめておこう」といった行動をとっている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、じつはコレ、腎臓の健康にとって非常によくない習慣なのです。
普段、水分をどのように摂っているかは、腎機能に大きな影響を与えています。今回は「腎機能、水分摂取、トイレの関係性」について見ていくことにしましょう。
そもそも、冬、寒くなるとトイレが近くなるのは「寒冷利尿」という生理現象が原因です。寒さで血管がギュッと収縮すると、体内の余分な水分を尿として排出しようとする働きが高まります。それで、膀胱に尿がたまりやすくなり、いつもよりおしっこが近くなるのです。
さらに、おしっこが近くなるのには、腎機能が低下してきている可能性も考えられます。
腎機能が低下してくると、尿を濃縮させる機能も落ちてきます。尿を濃縮させる力が落ちるということは、イコール尿の量が増えるということ。これによって膀胱に尿がたまりやすくなり、頻尿気味になって、トイレに何度も何度も足を運ぶようなハメになるわけです。






