韓国政界に激震が走っています。12月4日、最大野党「共に民主党」を中心とする野党6党が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案を国会に提出しました。発端は尹大統領が3日夜に発令した「非常戒厳令」。野党側はこれを憲法違反と断じ、大統領罷免へと突き進んでいます。
戒厳令宣言の波紋と弾劾訴追の行方
今回の弾劾訴追案提出の背景には、尹大統領による非常戒厳令宣言があります。この異例の措置に対し、野党のみならず与党「国民の力」からも批判の声が上がり、政局は混迷を深めています。「国民の力」の韓東勲代表も戒厳令を「誤り」と非難し、国会は4日未明、戒厳令解除を求める決議案を可決。与党議員も賛成に回りました。この状況下、弾劾訴追案の行方が注目されます。
韓国の尹錫悦大統領の退陣を求めるデモ
弾劾可決に必要なハードルと過去の事例
弾劾訴追案の可決には、国会(定数300)の在籍議員3分の2、つまり200以上の賛成票が必要です。現在、「国民の力」は108議席を保有しており、3分の1を超えています。野党側の議席数と合わせると、可決の可能性も十分に考えられます。
韓国政治に詳しい慶應義塾大学の金教授(仮名)は、「戒厳令宣言に対する国民の反発も大きく、与党内にも動揺が広がっている。弾劾訴追案の行方は予断を許さない状況だ」と分析しています。
過去の事例を振り返ると、2016年には朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)が親友の国政介入を理由に弾劾訴追され、罷免されています。今回の尹大統領のケースも、憲法裁判所の判断が最終的な決着を左右することになります。
憲法裁判所の判断と今後の韓国政界
弾劾訴追案が国会で可決された場合、最終的な判断は憲法裁判所に委ねられます。憲法裁判所が尹大統領の非常戒厳令を違憲と判断すれば、大統領は失職となり、新たな大統領選挙が行われることになります。
韓国政治ジャーナリストの李氏(仮名)は、「憲法裁判所の判断は、今後の韓国政治の行方を大きく左右する。国民の関心も非常に高く、裁判所の判断に注目が集まるだろう」と述べています。
混迷深まる韓国政局、国民の不安高まる
今回の弾劾訴追案提出は、韓国政界の不安定さを改めて浮き彫りにしました。国民の間には、政治の混乱に対する不安が広がっています。今後の政局の動向、そして憲法裁判所の判断に、国内外から大きな注目が集まっています。