韓国戒厳令発布の緊迫した155分:国会議事堂への軍隊突入、議員たちの抵抗

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が2024年12月3日夜に戒厳令を発布し、軍部隊が国会議事堂に突入するという緊迫した事態が発生しました。戒厳令発布から解除までの155分間、国会議員たちは抵抗を続け、民主主義を守ろうと奮闘しました。この記事では、当時の緊迫した状況を詳しく解説します。

戒厳令発布と国会議事堂への軍隊突入

尹大統領が戒厳令を発布した直後、国会議事堂周辺は封鎖され、議員や職員の出入りが制限されました。聯合ニュースによると、戒厳兵230人がヘリコプターで国会議事堂の敷地内に進入し、さらに約50人が塀を乗り越えて侵入しました。戒厳兵の一部は、議事堂2階の事務室のガラスを割って侵入したとされています。

韓国国会議事堂に戒厳兵が突入韓国国会議事堂に戒厳兵が突入

この軍隊突入は、国会で審議中だった戒厳令解除要求決議案の採決を阻止するために行われたとみられています。韓国政治史におけるクーデター未遂事件を想起させるこの出来事は、国民に大きな衝撃を与えました。

国会議員たちの抵抗

国会議事堂内では、議員補佐官らが椅子や机でバリケードを築き、消火器を噴射して戒厳兵の侵入を阻止しようと試みました。暗視装置や銃を装備した戒厳兵に対し、身を挺して民主主義を守ろうとする姿は、まさに「緊迫の155分」を象徴するものでした。

禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は、戒厳令発布直後、全議員に本会議場への招集を呼びかけました。警察による封鎖で足止めされた議員もいましたが、中には自ら塀を乗り越えて駆けつける議員もいたといいます。

戒厳令解除への道のり

当初、本会議場に集まった議員は約60人でしたが、徐々に増えていき、午前1時には190人に達しました。戒厳兵が2階傍聴席まで迫る中、禹議長に対し、採決を急ぐ声が上がりました。

緊迫した採決

重圧の中、国会議員たちは毅然とした態度で採決に臨み、最終的に戒厳令解除要求決議案は可決されました。この決議により、軍隊は国会議事堂から撤退し、民主主義は守られました。金敏基(キム・ミンギ)国会事務総長は、今回の事態を「軍兵力を動員して国会議事堂を踏みにじった暴挙」と強く非難しました。

今後の韓国政治の行方

今回の戒厳令発布と国会議事堂への軍隊突入は、韓国政治の大きな転換点となる可能性があります。国民の間に不安が広がる中、今後の政局の行方が注目されます。 専門家の中には、「今回の事件は、大統領の権力乱用を如実に示すものだ」と指摘する声もあります。(韓国政治評論家 イ・ジョンソク氏談)

この事件は、民主主義の脆さを改めて浮き彫りにしました。今後、韓国社会は、この経験を教訓として、民主主義の更なる強化に取り組む必要があるでしょう。