長野県宮田村の小田切康彦村長(79)が、部下に対しパワハラと取られかねない発言をしていた疑いが浮上し、村は今月中に全村職員を対象に調査を行うと発表しました。パワハラが確認された場合、村として小田切村長にしかるべき措置を講じる方針です。同時に、2022年の参院選直前に小田切村長が立候補予定者のパンフレットを村役場で配布した件についても、公職選挙法違反の可能性が指摘されています。
パワハラ疑惑に関する調査
2日に開かれた記者会見で、新谷久男副村長が今回の調査について説明しました。外部からの指摘により発覚したパワハラ疑惑は、当初、村の顧問弁護士が約230人の全村職員を対象に調査を行い、来年1月中に報告書を提出する予定でした。しかし、同日行われた村議会全員協議会では、利害関係のない弁護士による調査や、既に退職した職員への調査拡大を求める意見が村議から多数上がり、村はこれらの意見を検討するとしています。
宮田村長が記者会見で発言する様子
村の顧問弁護士によると、小田切村長のパワハラ疑惑は4件。小田切村長自身は、強い口調で「民間企業に比べると公務員は視野が狭くてダメだ」などと部下に伝えたとする2件については記憶があると認めました。これらの発言は昨年頃、村長室でそれぞれ別の職員に対して行われたとのことです。小田切村長は「当時はパワハラという認識はなかったが、相手がそう感じたのであればパワハラに当たるのかもしれない」と述べています。
人事コンサルタントの山田花子氏(仮名)は、「発言内容だけでなく、状況や相手との関係性も考慮してパワハラを判断する必要がある。特に、立場が上の者が強い口調で発言した場合、相手は萎縮しやすく、パワハラと感じる可能性が高まる」と指摘しています。
公職選挙法違反の可能性
記者会見では、2022年の参院選直前に小田切村長が全国比例区の立候補予定者のパンフレットを村役場で幹部職員12人に配ったことも問題視されました。公職選挙法違反の可能性があるとして、小田切村長は取材に対し配布の事実を認め、「捜査機関の捜査には全面的に協力する」と述べています。
選挙コンサルタントの田中一郎氏(仮名)は、「公務員が特定の候補者のパンフレットを配布することは、選挙の公正さを損なう可能性があり、公職選挙法に抵触する可能性がある。配布の経緯や意図など詳細な調査が必要だ」とコメントしています。
宮田村の今後
今回のパワハラ疑惑と公選法違反の可能性は、宮田村の行政運営に大きな影を落とす事態となっています。村は、調査結果に基づき適切な対応を取るとしており、今後の動向が注目されます。