日本の防衛省・統合幕僚監部は2024年11月30日、中国軍のY-9情報収集機2機が沖縄本島と宮古島の間を通過したと発表し、航空自衛隊が撮影した鮮明な画像を公開しました。同日には、中国軍とロシア軍の爆撃機による共同飛行も行われ、沖縄近海の緊張が高まっています。
中国軍機Y-9とは? 多様な任務を担う最新鋭機
今回確認されたY-9情報収集機は、中国が開発した多用途中型輸送機Y-9をベースに改造された機体です。Y-9は2016年に就役した比較的新しい機体で、輸送機のほか、電子情報収集機、哨戒機、電子戦機など、様々な任務に対応できるバリエーションが存在します。
中国軍のY-9情報収集機(出典:防衛省・統合幕僚監部)
Y-9DZとY-9LG:二つの情報収集機の脅威
確認された2機のY-9情報収集機は、それぞれ「Y-9DZ」と「Y-9LG」の可能性が高いとされています。
Y-9DZ:多様な情報を収集する電子情報収集機
Y-9DZは、機体に多数のアンテナが取り付けられた電子情報収集機(ELINT)です。2019年に就役が発表され、電子監視、信号情報、画像情報など、多様な情報を収集できる最先端のセンサーと通信システムを備えています。防衛省によると、航空自衛隊は2023年6月に初めてこの機体を確認しています。
Y-9LG:謎に包まれた最新鋭電子戦機
Y-9LGは、機体上部に巨大な箱型の機材を搭載しているのが特徴です。2023年初頭に配備が報告された最新鋭の電子戦機とみられ、早期警戒機のような外観をしていますが、攻撃用の電子戦システムも備えているとされています。今回の飛行で、航空自衛隊によってその鮮明な写真が初めて公開されました。航空軍事アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「Y-9LGの出現は、中国軍の電子戦能力の向上を示唆しており、周辺国にとって大きな脅威となる」と指摘しています。
沖縄近海の安全保障:高まる緊張
中国軍機による沖縄近海の飛行は近年増加しており、日本の安全保障上の懸念が高まっています。今回のY-9情報収集機の飛行も、その一環とみられています。専門家の中には、中国軍がこれらの機体を利用して、自衛隊のレーダーや通信システムの情報収集を行っている可能性を指摘する声もあります。
今回の中国軍機による飛行は、東アジア地域の安全保障環境がますます複雑化していることを改めて示すものとなりました。日本政府は、引き続き中国軍の動向を注視し、必要な対応をとっていく方針です。