闇バイトの危険性をリアルに体感できるゲームプログラム「レイの失踪」が、教育機関への導入を開始しました。SNSを模した巧妙なやり取りを通じて、若者を闇バイトの罠から守る革新的な取り組みとして注目を集めています。
闇バイトの深刻な現状と若者への影響
近年、SNSを通じて若者を特殊詐欺や強盗などの犯罪に巻き込む「闇バイト」が深刻な社会問題となっています。2024年には警視庁からの警告が1万件を超え、報道される事件も増加の一途をたどっています。逮捕者の約8割が10~20代の若者で、犯罪意識が希薄なまま加担してしまうケースが多く見られます。「通報するぞ」「家族が危ない」といった脅迫により、一度闇バイトに足を踏み入れると抜け出すのが困難になるという実態も明らかになっています。
闇バイト募集のイメージ
ゲーミフィケーションで学ぶ「レイの失踪」とは?
こうした状況を打破すべく、教育支援プログラム開発のスタートアップ企業Classroom Adventure(東京都中央区)が開発した「レイの失踪」は、闇バイトの追体験を通じてその危険性を学ぶことができる画期的なゲームプログラムです。全国の教育機関に出張授業を行い、学生たちに実際にプレイしてもらうことで、より深い理解を促進することを目指しています。
ゲームの内容と学習効果
「レイの失踪」は、人気動画配信者「レイちゃんねる」の失踪事件を軸に展開されます。参加者はSNSへの投稿や会話の分析を通して闇バイトの実態に迫り、「なぜ騙されてしまうのか」「なぜ抜け出せないのか」「何をすべきなのか」という3つのステップを体験しながら学習していきます。
ゲーム画面
実在の被害事例に基づいたリアルな状況設定と、実際のSNSや闇バイトに加担しやすい人の心理を再現した巧妙な仕掛けにより、座学だけでは得られない深い気づきと学びを提供します。情報リテラシー専門家による監修のもと開発されたプログラムは、闇バイトの危険性を効果的に伝えるだけでなく、情報を読み解く力や危機回避能力の向上にも貢献します。
開発元のClassroom Adventureとは?
Classroom Adventureは、慶應義塾大学の現役大学生が設立したスタートアップ企業です。東京都主催のコンテスト「Tokyo Startup Gateway 2024」でグランプリを受賞した実績を持ち、フェイク情報を見抜くためのプログラム「レイのブログ -Ray’s Blog-」は、日本・アメリカ・台湾など6カ国の教育機関と連携し、1年間で7000人以上の学生に提供されています。
未来への展望
Classroom Adventureは、「ゲーミフィケーションを活用することで、これまで届けるのが難しかった層にも学びを届けていきたい」と述べています。「レイの失踪」は、闇バイト対策における新たなアプローチとして、若者の未来を守るための重要な役割を担うことが期待されます。