11日の内閣改造で、新たな五輪相に橋本聖子氏の就任が決まった。タイミングを考えれば、開幕まで1年を切った大会時もかじ取りを担う可能性が高く、国側代表として東京五輪を迎えることになりそうだ。
夏冬計7度の五輪に出場した元トップアスリート。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長が「橋本さんほど、ふさわしい人はいない」と歓迎したのもうなずける。前任の鈴木俊一氏は五輪相の役割を「都や大会組織委員会などとの連携調整」と語ったことがあるが、就任で組織間の風通しが悪くなるはずもない。
大会成功に向け、政府が取り組むべき仕事は多岐にわたる。サイバー攻撃を含むテロ対策や交通輸送対策、また暑さや感染症への対応も大きな課題だ。世界中からやってくる外国人を迎える態勢整備も、国に頼る部分が大きい。橋本氏には、これら各省庁にまたがる施策の総合調整役も求められる。
五輪の「聖火」にちなんだ名を持つ新大臣のスポーツに対する理解と愛情には疑問の余地がない。オリンピアンとしての知名度も、大会の機運醸成に一定の武器となるだろう。
前任者たちが敷いたレールをさらに伸ばし、「安全、安心、確実」にゴールに導く-。現役時代、スケートと自転車で何度も披露した“ラストスパート”を、再び見せるときがきた。(森本利優)