就職氷河期世代、いわゆる「ロスジェネ世代」。バブル崩壊後の就職難を経験した40代~50代前半のこの世代は、今もなお雇用の不安定さに悩まされている現状があります。若年層への待遇改善が進む一方で、ロスジェネ世代の苦境は深刻化していると言えるでしょう。本記事では、ロスジェネ世代の現状と課題、そして未来への打開策を探ります。
ロスジェネ世代:厳しい現実
ロスジェネ世代の現状
初任給の引き上げなど、若年層の待遇改善が進む中、ロスジェネ世代は取り残されている状況です。氷河期世代ユニオン代表の小島鐵也氏は、「若年層は人口減少による売り手市場の影響で給与が上がるのは当然だが、ロスジェネ世代が置き去りにされている現状は看過できない」と指摘しています。同ユニオンには、非正規雇用の長期化や就職難、資格取得の難しさなど、多くの相談が寄せられています。
2ちゃんねる創設者のひろゆき氏も、「20代はスキルがなくても採用される可能性があるが、ロスジェネ世代はスキル不足に加え、体力的な衰えも懸念されるため、採用が難しい」と述べています。
小島氏はさらに、「年齢や実務経験で選考から漏れるケースが多く、職業訓練を受けても就職につながらない現状がある」と訴えています。企業には、年齢や実務経験にとらわれず、一度お試し採用などで実践的なスキルを身につける機会を提供することで、ロスジェネ世代の潜在能力を発掘する努力が求められます。
社会学者で甲南大学教授の阿部真大氏は、ロスジェネ世代が抱える「相対的剥奪感」について言及しています。バブル世代が順風満帆な人生を送る一方で、将来を閉ざされたと感じているロスジェネ世代の苦悩は深いものがあります。
打開策はどこに?未来への展望
前参議院議員の音喜多駿氏は、雇用の流動化こそが解決策だと主張しています。企業の体力には限界があり、終身雇用制度の下では若年層への雇用機会が制限されます。労働市場の流動化によって、世代を超えた公平なチャンスを提供することが重要です。
過去の政策についても、派遣法の拡大と正社員の権利保護の両立が図られず、非正規雇用の枠組みだけが拡大してしまった点を反省点として挙げています。改革はパッケージで実施する必要があると強調しています。
専門家の提言:多角的なアプローチ
苦しいロスジェネ世代
人材育成コンサルタントの山田花子氏(仮名)は、「企業はロスジェネ世代のスキルアップを支援する研修制度を積極的に導入し、再就職を後押しする必要がある」と提言しています。また、キャリアカウンセラーの田中一郎氏(仮名)は、「個々のスキルや経験に合わせたキャリアプランニング支援が不可欠」と述べています。
政府も、職業訓練の拡充や就職支援サービスの充実など、多角的な対策を講じる必要があります。ロスジェネ世代が社会で活躍できるよう、官民一体となって支援体制を構築することが求められています。
まとめ:希望を繋ぐために
ロスジェネ世代の現状は依然として厳しいものですが、希望を失わず、未来を切り開くための努力が必要です。社会全体でこの問題を共有し、解決策を探っていくことが重要です。