【室谷克実 深層韓国】
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はついに自ら、「反米・親中派」の左翼勢力に政権を手渡す道を開いてしまった。
3日夜、閣議の手続きも経ないまま、放送により「非常戒厳令の宣布」を宣言したものの、国会が全会一致で「戒厳令解除決議」を採択したため、政権は宣布から6時間後には「戒厳令解除」を議決せざるを得なかった。
この体たらくで、大統領弾劾が確実な視野に入った。半島南部に「赤い政権」が発足するのは、おそらく来年夏だろう。「釜山に赤旗」が立つのだ。
「6時間戒厳令」の政治激震で、低迷する韓国経済はさらに深刻化する。外資に限らず資金の海外逃避が加速する。
日本の石破茂政権は「赤い韓国」の誕生が確実視されるのに、「日韓協力」路線を清算しないのだろうか。
「殿、御乱心」と止める側近はいなかったようだ。諫言しかねない人材はすべて排除して、「イエスマン」で固めたのが尹政権の大統領室だからだ。
それにしても準備不足だった。
戒厳令宣布の直後、戒厳軍司令官は「あらゆる政治活動を禁止する」との戒厳布告を発表し、戒厳軍は国会に進入した。が、議員の出入りを統制できないまま、本会議を開催させてしまった。
国会決議には、与党の韓東勲(ハン・ドンフン)派議員18人も賛成した。与党は事実上分裂したのだ。
尹大統領は、徹底的に追い詰められた心理状態なのだろう。だからこそ、「外敵の危機」ではなく、「対野党」を名分にした戒厳令宣布に踏み切ったのだ。
■夫人は新たな疑惑生む「白いラッキョウ女」「傾国の整形美女」
彼が追い詰められたのは、4月の国会議員選挙で「与小野大」(=野党が過半数のねじれ国会)が固定化したためだ。国会議員選挙で与党が勝てなかった最大の理由は金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人に関する疑惑だった。
剥いても剥いても、新たな疑惑が出てくる「白いラッキョウ女」「傾国の整形美女」だ。
保守系紙まで筆をそろえて「このままでは与党大敗」と報じているのに、尹氏は夫人をかばい続けた。