石破茂首相の去就を巡る政局は混迷を深めている。「石破続投の可能性は高い」との見方もあったが、ここにきて「石破おろし」の動きが加速しており、間もなく訪れる9月初めが一つの大きな節目となると見られている。永田町では、この時期に石破首相が自ら辞任を決断するのではないかとの観測が浮上しているが、その背景には党内の複雑な思惑が絡み合っている。
政治評論家・古賀茂明氏
石破首相「辞任」への高まる圧力と背景にある選挙惨敗
石破首相に対する辞任要求の直接的な引き金となっているのは、繰り返される選挙での惨敗だ。昨年の衆院選、今年6月の都議会議員選での大敗に加え、先の参院選でも自らが設定した勝敗ラインを下回り、ついに与党が衆参両院で過半数割れに陥った。これらの責任は極めて重く、総括文書のとりまとめが9月初旬にずれ込む中、森山裕幹事長が進退を判断するとされており、その結果次第では石破首相も辞任せざるを得ないという見方が一般的だ。これは一見、常識的な理屈に基づいた動きに見える。
「石破おろし」を主導する影の勢力と国民の反発
しかし、「石破おろし」を声高に叫ぶ議員たちの多くが、裏金問題や旧統一教会問題で「脛に傷を持つ」面々であることは見過ごせない。麻生太郎、菅義偉、岸田文雄といった元首相経験者トリオや、茂木敏充前幹事長が水面下で動きを見せているという。さらに、裏金問題や旧統一教会問題の象徴的な人物である萩生田光一元政調会長の秘書が有罪判決を受け、復党すらしていない旧安倍派の「裏金戦犯」とされる世耕弘成元参院幹事長の名前まで取り沙汰されている。
こうした状況を見るにつけ、「石破おろし」は単なる責任追及ではなく、「悪人復活の謀略」のように国民の目には映り始めている。裏金問題や旧統一教会問題への反発が根強い中、問題に関与した議員たちが政局を動かそうとすればするほど、国民の呆れと反発は強まるばかりだ。世論調査でも「石破首相はすぐ辞任すべき」という意見は完全に少数派となり、早期の総裁選前倒し論も勢いを失う可能性が出てきている。
石破首相が直面する精神的試練とその「鉄の心」
「悪人」たちが最後に期待しているのは、石破首相の「心」が折れ、自主退陣するというシナリオだ。党内で大多数が辞任を求め、盟友である森山幹事長までが辞任するとなれば、一人で続投を決断するのは精神的に極めて過酷な状況となるだろう。これまで冷遇されてきた石破氏が「鋼の心」を持っているとしても、この途方もない精神的圧力を跳ね返す力が残されているのかが問われている。
しかし、石破首相の近況からは、その「心が折れる」展開は現実的ではないように見える。先週のTICAD(アフリカ開発会議)での李在明韓国大統領との会談をはじめ、インドのモディ首相との会談、トランプ関税の着地交渉、補正予算案の編成、秋の国連総会出席など、多忙な日程をこなすことで自らを鼓舞し続けているようだ。日々、誠心誠意職務に取り組むことで、過酷なストレスから意識を逸らしているのである。クリスチャンである石破氏にとって、これは神が課した試練であり、それを乗り越えることが自らの使命であると考えているのかもしれない。
従って、現在のところ、石破首相が自らの意志で辞任を決断する可能性は低いと見るべきだろう。
Tài liệu tham khảo:
Yahoo!ニュース (ASAHI Weekly)