目立った材料はないのにこの1年で「劇的悪化」した中国人の対日感情、背後にあるものの“正体”


 言論NPOが12月2日に発表した「第20回日中共同世論調査」が、日本の中国ウォッチャーの間で、ひとしきり話題を呼んでいる。それは、日本側が眉を顰(ひそ)めるような中国側の回答が散見されたためだ。私も言論NPOの有識者調査に回答している身なので、今回はそのことを掘り下げてみたい。

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 世論調査の設問は多岐にわたったが、その中で「相手国に対する印象」の項目がある。日本人から中国を見て、「良い印象を持っている/どちらかといえば良い印象を持っている」と答えた人は、全体の10.6%だった。2割を下回るのは、習近平総書記が誕生した2012年以来、13年連続だ。

 逆に、中国に「良くない印象を持っている/どちらかといえば良くない印象を持っている」と答えた人は、全体の89.0%に上った。この質問への同様の回答が8割を超えるのも、やはり習近平総書記が誕生した2012年以来、13年連続だ。

 こうした日本人の回答は、普段日本で暮らしている「肌感覚」として、いわば予想の範囲内である。問題は、中国人の回答の方だ。

 中国人から日本を見て、「良い印象を持っている/どちらかといえば良い印象を持っている」と答えた人は、全体の12.3%。昨年は37.0%だったので、わずか1年のうちに25ポイント近く下がったことになる。

 また、中国人から日本を見て、「良くない印象を持っている/どちらかといえば良くない印象を持っている」と答えた人は、全体の87.7%。昨年は62.9%だったので、やはりわずか1年のうちに25ポイント近く上昇したことになる。

 日本側の回答は例年とほぼ変化なかったのに対し、中国側の回答は大きく変化した。すなわち、それぞれ昨年の17.5%から8.6%へ、昨年の41.2%から76.0%へと変化したのだ。

■ この1年で激変、中国人の対日感情

 さらに、次の設問へと続く。「今後の日中関係」の設問だが、「良くなっていく/どちらかといえば良くなっていく」と回答したのは、日本側が7.0%で中国側が9.6%。逆に「悪くなっていく/どちらかといえば悪くなっていく」と回答したのは、日本側が32.9%、中国側が75.0%だった。

 こちらも、日本側の回答はほぼ例年並みだった。それに対し、中国側はそれぞれ、昨年の31.6%から9.6%へ、昨年の40.1%から75.0%へと、大きく変化したのである。

 もう一つ設問が続いた。「日中関係の重要性」についてである。「重要である/どちらかといえば重要である」と回答したのは、日本側が67.1%、中国側が26.8%。逆に「重要ではない/どちらかといえば重要ではない」と回答したのは、日本側が5.0%、中国側が59.6%だった。

 ところがこちらも、日本側の回答が例年とほぼ変化なしだったのに対し、中国側はそれぞれ、昨年の60.1%から26.8%へ、昨年の19.1%から59.6%へと、大幅に変化したのである。

 この4問から推定できるのは、中国側の対日感情が、この一年で急激にヒステリックになってきていることだ。



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