仏手柑:指先のように分かれた黄金の果実、和歌山で収穫最盛期

和歌山県田辺市で、黄金色に輝く不思議な柑橘「仏手柑(ぶっしゅかん)」の収穫が最盛期を迎えています。まるで仏様の手のように、指先が分かれたユニークな形が特徴のこの果実。こぶし大から長さ20センチほどまでと、大きさも様々です。

古くから縁起物として珍重されてきた仏手柑。その香りは格別で、茶席の飾りや生け花として、日本の伝統文化に彩りを添えてきました。

和歌山県田辺市で収穫される仏手柑和歌山県田辺市で収穫される仏手柑

仏手柑の魅力:香り高く、縁起の良い日本の伝統果実

仏手柑は、その名の通り、仏陀の手を思わせる形状から名付けられました。鮮やかな黄色い果皮は、熟すにつれて黄金色に輝きを増し、見る者を魅了します。食用には適さないものの、その豊かな香りは高く評価され、古くから茶席や生け花、正月飾りなどに用いられてきました。「福寿を呼ぶ」「子孫繁栄」などの縁起を担ぐ意味合いもあり、贈り物としても人気です。

和歌山県田辺市:仏手柑栽培の里

温暖な気候に恵まれた和歌山県田辺市は、仏手柑の栽培が盛んな地域として知られています。地元の農家の方々は、丹精込めて仏手柑を育て、その伝統を守り続けています。

田辺市で仏手柑を栽培する泉久美さん(57歳)は、8日も畑で収穫作業に追われていました。はさみで丁寧に枝ごと切り取られた仏手柑は、一つ一つ丁寧に箱詰めされ、出荷されていきます。「香りが良く、毎年楽しみにしてくれる方がいるので苦労も喜びに変わります」と泉さんは笑顔で語ります。今月中旬にかけて約1000個の収穫を予定しているとのことです。

仏手柑の活用法:香りを楽しむ、飾って楽しむ

仏手柑は、主に観賞用として楽しまれます。その爽やかな香りは、心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらすとされています。茶席や生け花に添えることで、空間を華やかに演出し、季節感を演出することもできます。また、乾燥させてポプリにしたり、果皮を煮出して香りを楽しむこともできます。

専門家によると、「仏手柑の香りは、柑橘系の爽やかさとフローラルな甘さが絶妙に調和しており、心を和ませる効果がある」とのことです。(日本香料協会 山田香織氏談)

仏手柑:日本の伝統文化を彩る黄金の果実

収穫最盛期を迎えた和歌山県田辺市の仏手柑。その美しい姿と豊かな香りは、日本の伝統文化を彩り、人々に福寿をもたらす縁起物として、これからも愛され続けていくことでしょう。