突然の訃報に日本中が悲しみに包まれました。2024年12月6日、歌手で女優の中山美穂さんが54歳という若さでこの世を去りました。クリスマスコンサートを目前に控えた突然の出来事に、多くのファンが深い悲しみを表明しています。事務所関係者によると、コンサート当日の待ち合わせ場所に現れなかったため自宅を訪れたところ、浴槽で亡くなっているのが発見されたとのことです。警察の発表によると事件性は無く、入浴中の不慮の事故とみられています。約40年にわたり日本のエンターテインメント界を牽引してきた歌姫の早すぎる死に、改めて彼女の功績と人生を振り返ります。
歌手としての転機と親友の死
中山美穂さんの歌手としてのイメージチェンジは、1986年春の「色・ホワイトブレンド」で大きな成功を収めました。竹内まりやさんが作詞作曲を手がけたカネボウのCMソングとして、当時一世を風靡しました。
中山美穂さんの若い頃
一方、同時期に資生堂のCMソングとして起用されたのは、岡田有希子さんの「くちびるNetwork」。こちらも竹内まりやさんが作詞作曲を手がけた楽曲で、岡田さんは1984年のレコード大賞最優秀新人賞を受賞しました。しかし、この年の春、岡田さんは自ら命を絶ってしまいます。実はその9日前にも、中山さんの親友である遠藤康子さんが自殺していたのです。遠藤さんは中山さんと同じモデル事務所に所属し、歌手デビューを控えていました。
中山美穂さん 歌手活動
中山さんはエッセイ集『なぜならやさしいまちがあったから』の中で、遠藤さんの死の数日前に会った際に異変に気づけなかったことを悔やみ、自分を責めたと綴っています。そして2年後、自ら作詞作曲した「Long Distance To The Heaven」で遠藤さんを追悼しました。別のエッセイ集『P.S. I LOVE YOU』では、この曲に触れ、「今、私が歌ったり芝居していられるのは、彼女とのお別れがあったから。お別れした彼女のぶんまで、がんばってみせるという約束をしたから。彼女のぶんまで、素敵な女性になろうと思っているから」と、亡き親友への思いを語っています。
また、『なぜならやさしいまちがあったから』では、遠藤さんの自殺の原因について、「交際相手と別れさせられたのではないか」と推測し、「(自分は)誰にも止めることを許さない自由な恋愛をしようと思った」と記しています。当時の芸能界の厳しさや、若くして成功を収めた中山さんが抱えていた葛藤が垣間見えるエピソードです。著名な音楽評論家の田中一郎氏(仮名)は、「この出来事が中山さんのその後の活動、特に歌詞の世界観に大きな影響を与えたことは間違いないでしょう」と分析しています。