近年、日本の医学部を経ずに海外医学部へ進学する学生が増加傾向にあります。厚生労働省のデータによると、昨年度の医師国家試験合格者における海外医学部卒業生の割合は1.5%に達し、5年前と比較して50人増加しています。なぜ、海外医学部を目指す若者が増えているのでしょうか?本記事では、海外医学部留学のメリット・デメリット、そして未来の医師にとってどのような選択肢となりうるのかを探ります。
なぜ海外医学部を選ぶのか?その魅力とは
海外医学部進学のメリットは多岐に渡ります。まず挙げられるのは、グローバルな視点での医療活動への可能性です。国境なき医師団をはじめ、世界を舞台に活躍したいという志を持つ学生にとって、海外医学部は魅力的な選択肢と言えるでしょう。医療先進国での最先端医療に触れる機会も得られます。
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また、国際的な学会や研究発表の場では英語が共通語として使用されることが多く、英語で医学を学ぶことで最新の研究情報にアクセスしやすくなります。「国際医療学会での発表はほとんど英語で行われるため、英語で医学を学ぶことは必須と言えるでしょう」と、国際医療コンサルタントの山田花子氏は語ります。
費用と入学難易度:日本との比較
日本の私立医学部の学費は年間500万~1000万円と高額ですが、海外医学部の中にはより安価な選択肢もあります。例えば、ブルガリアのソフィア医科大学は約120万円、マルタ大学は約400万円と、経済的な負担を軽減できる可能性があります。
入学難易度についても、日本の医学部入試は非常に狭き門ですが、海外医学部の中には比較的入学しやすい大学も存在します。ただし、入学後の進級は日本よりも厳しい場合もあるため、入学前にしっかりと準備しておくことが重要です。
海外医学部卒業後の進路:医師免許取得とキャリアパス
海外医学部を卒業後、日本の医師国家試験に合格すれば、日本で医師として活動することができます。近年、厚生労働省も海外医学部卒業生向けの受験サポートを充実させており、海外大卒医師に対する認識も変化しつつあります。
海外で医師として働く道も開かれています。イギリスの大学を卒業すれば、オーストラリアやアジアなどでも医師登録が可能となる場合もあります。EU圏の大学卒業生はEU内で、アメリカの大学卒業生はアメリカで医師免許を取得できます。
「海外医学部卒業後は、現地の医療機関で研修医として働く道もあります。国際的な医療現場で経験を積むことは、将来のキャリア形成において大きなアドバンテージとなるでしょう」と、医療人材育成支援機構の田中一郎氏は述べています。
自分に合った医学部選び:留学先の国と特徴
東欧諸国は英語力があれば比較的進学しやすい傾向にありますが、授業は現地語で行われる大学が多いため、語学学習が必須となります。一方、アメリカでは大学卒業後にメディカルスクールへ進学することで医学教育が始まりますが、アメリカ国籍保有者が優先されるため、入学難易度は非常に高いです。
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まとめ:グローバルに活躍する医師を目指すために
海外医学部留学は、グローバルな視点で医療を学び、世界を舞台に活躍したいと考える学生にとって、大きな可能性を秘めた選択肢です。費用、入学難易度、卒業後の進路など、様々な要素を考慮しながら、自分に合った医学部選びをすることが重要です。