国民の関心事である防衛増税について、政府の対応に疑問の声が上がっています。43兆円の防衛費確保に向け、法人税、所得税、たばこ税の増税が計画されていますが、その具体的な内容や必要性について、石破首相からの明確な説明が不足しているように感じられます。
防衛増税の必要性、首相自ら説明を
来年度予算編成を巡り、防衛増税の議論が活発化しています。岸田前政権からの課題であるこの増税は、5年間で43兆円の防衛費を確保するための財源として、法人税6000~7000億円、所得税2000億円、たばこ税2000億円を徴収する計画です。
防衛費増額の議論
しかし、政府・与党内では所得税増税の先送りや撤回が検討されているとの報道もあり、国民の理解を得られていない現状が浮き彫りになっています。103万円の壁問題で所得税減税が議論される中で、防衛費のために増税を行うことへの抵抗は大きいでしょう。
「安全保障の論客」を自称する石破首相は、国民へ増税の必要性を明確に説明する責任があります。所信表明演説では「防衛力の抜本的強化」に触れたものの、具体的な内容や増税額については言及がありませんでした。国民の理解を得るためには、増税の必要性、使途、そして国民生活への影響について、丁寧に説明する必要があります。
たばこ税増税の矛盾
防衛費の財源として、たばこ税の増税も挙げられています。加熱式たばこの税率引き上げ案も出ていますが、この点についても疑問が残ります。健康増進のために喫煙率を下げようとする一方で、財源確保のためにたばこ税を増税するという矛盾した政策に、国会議員やメディアからも批判の声が上がっていません。
国民の健康と財政のバランスをどのように考えているのか、政府は明確なビジョンを示すべきです。健康被害をもたらすたばこに頼る財源確保ではなく、より持続可能な方法を検討する必要があるのではないでしょうか。
国民の声に耳を傾ける必要性
防衛力強化は重要な課題ですが、国民への説明責任を果たすことなく増税を進めることはできません。政府は国民の声に耳を傾け、透明性のある議論を行う必要があります。日米地位協定の見直しやアジア版NATO創設といった論点についても、国民に分かりやすく説明し、理解と協力を得ることが重要です。
防衛増税は国民生活に直接影響する問題です。政府は、国民の不安や疑問に真摯に向き合い、納得感のある政策を推進していくことが求められます。