佳子さまブラジル訪問:外交樹立130周年、現地魅了したお召し物と交流

「日本とブラジルの人々がさらに交流を進め、これからも大切な友人、アミーゴとして、寄り添いあう未来を思い描いております」――6月11日、ブラジルの首都ブラジリアで行われた連邦議会主催の記念式典で、秋篠宮家の次女・佳子さま(30)は両国の友好関係について心を込めて述べられた。今年、日本とブラジルは外交関係樹立130周年という記念すべき節目を迎えた。その慶祝のため、佳子さまは6月5日から15日までの日程でブラジルを公式訪問。この重要な佳子さまのブラジル訪問は、両国の絆を再確認し、更なる発展への期待を高めるものとして、国内外から熱い注目を浴びた。

ブラジル訪問中の佳子さま、日本ブラジル外交関係樹立130周年式典にてブラジル訪問中の佳子さま、日本ブラジル外交関係樹立130周年式典にて

事前のご準備と高まる注目

訪問前から、佳子さまはブラジルの歴史、地理、文化について大変熱心なご準備を進められた。4月14日には、国立民族学博物館の中牧弘允名誉教授からブラジルに関する進講を受け、政治の中心ブラジリア、経済の中心サンパウロ、文化の中心リオデジャネイロが、日本の江戸時代の三都(京、大坂、江戸)と似ているという比較の説明などに熱心にメモを取られるなど、深い関心を示されたという。中牧氏は、講義を通じて「若い世代が日本とブラジルを行き来している中で、若者の心を繋ぎとめ、支えたいという佳子さまのお気持ちが強く伝わってきた」と述べている。また、ご訪問に際しては、ブラジルに向かう機内でプライベートな様子の動画がSNSに投稿されるという予期せぬ波紋もあったが、こうした一挙一動に注目が集まること自体が、国民からの関心の高さを表しているともいえる。

現地を魅了したお召し物:眞子さんとのおそろい

ブラジルご訪問中、特に現地の人々をも魅了したのが、式典などでのお召し物だった。ブラジリアでの記念式典には、浅葱色を基調とした、息をのむほど華やかな振袖で臨まれた。この振袖に施された“ぼかし”の技法は高度な技術を要するものであり、柄には流水の中に松や笹、桔梗、菊など、日本の四季折々の植物が優雅にあしらわれていた。この美しい振袖は、実は2016年に姉の眞子さんが南米のパラグアイを訪問した際に着用されていたもの。9年という時を経て、妹の佳子さまへと受け継がれた「9年越し」の“おそろいコーデ”として、大きな話題を呼んだ。

温かい交流:ボランティア隊員や移民史料館でのご様子

佳子さまは、ブラジルで活動する日本のボランティア隊員たちとも温かく交流された。サンパウロ人文科学研究所で日系人の自叙伝や日記、俳句などをデータベース化する活動を行う謝花聡恵さんに対し、「貴重なお仕事をされているのですね」と労いのお言葉をかけ、個々の隊員の活動内容について細やかに質問されたという。ブラジル日本移民史料館のご訪問も、ご滞在の重要な一コマだった。同史料館運営委員会委員長の山下リジア玲子さんは、移民の方々が寄贈したワニやヒョウなどの動物剥製を熱心にご覧になり、「これらの動物と初めて出会った移民の方々は、どのように対応されたのでしょうか」と、当時の状況に思いを馳せるようなご質問をされたことに感銘を受けたという。この史料館は7年前に眞子さんも訪問しており、山下さんは、言葉少なに頷く場面が多かった眞子さんと比べ、佳子さまの積極的に質問される姿勢が印象的だったと対比して語っている。

「シンパーチカ」と称賛されたプリンセス

佳子さまの自然体で親しみやすいお姿は、現地メディアや多くのブラジル国民の心をとらえた。「親しみやすい人」を意味するポルトガル語の「シンパーチカ」という言葉で、そのお人柄が広く称賛された。歓迎式典では、集まった子供たちと笑顔でハイタッチを交わし、子供たちの前では自ら膝をついてしゃがみ、目線を合わせながら年齢や学年などを優しく尋ねられた。移動の際、控え室へ案内するスタッフに対して「美味しいブラジルのジュースを頂きました」と感謝の言葉を述べられるなど、周囲への細やかなお心遣いも随所に見られたという。日本の真裏にあたるブラジルという遠い地でも、「シンパーチカ」と慕われたプリンセスへの評価は、今回の訪問を通じて一層高まっている。

結び

外交関係樹立130周年という記念すべき年に実現した佳子さまのブラジルご訪問は、両国の長年にわたる友好関係を改めて確認し、未来への絆を一層強固にする素晴らしい機会となった。事前の熱心なご準備、そして現地での温かい交流と親しみやすいお姿は、ブラジル国民の心に深く響き、「シンパーチカ」という言葉と共に記憶されるだろう。この成功裏に終わった訪問が、これからも日本とブラジルが「大切な友人、アミーゴとして」、共に歩み続ける未来への確かな礎となるに違いない。