7月3日、いよいよ参議院選挙の火ぶたが切って落とされます。昨年10月の衆院選で自公が過半数割れとなった石破茂首相にとって、今回の選挙は極めて厳しい戦いとなる見込みです。石破首相は6月23日の会見で勝敗ラインについて記者から問われ、「改選議席も含めて自公で過半数」を目標とすると述べました。
参院選を前に、令和国民会議で講演する石破茂首相
自公連立の勝敗ラインと現実
自民党の非改選議席は62議席(関口昌一議長を含む)、公明党は13議席であり、合計75議席です。このため、今回の参院選で両党が合わせて50議席を獲得できれば、「自公連立政権の勝利」と見なす計算になります。公明党は現有の14議席以上の確保を目指しており、これが実現すれば、自民党は36議席を獲得すれば目標達成となります。しかし、現状は非常に厳しいと言わざるを得ません。
都議選が示した与党の苦戦
今年は12年に一度、参院選と東京都議選が同一年に行われる「巳年選挙」です。先日行われた6月22日の都議選では、自民党の獲得議席が21議席に留まり、2017年の23議席を下回り過去最低を更新しました。支持者の高齢化などにより戦力低下が指摘される公明党もまた、これまで最も苦戦が予想されていた目黒区選挙区での候補者擁立を見送ったにも関わらず、新宿区選挙区で1議席、大田区選挙区で2議席を失い、獲得議席は19に甘んじました。これにより、1993年から8回連続で続いていた都議選での全勝記録が途絶えました。
新たな政治の枠組みの必要性
興味深いことに、この公明党の都議選での全勝期間は、公明党が新進党に参加し、後に自民党と連立を組んだ時期とほぼ重なります。そして、衆議院、参議院の両院で自公が少数派に転落する可能性が現実味を帯びる現在、日本の政治において新たな枠組みが求められているのかもしれません。
石破・岸田会談の背景と連立再編の可能性
石破首相は6月29日夜、岸田文雄前首相と都内のホテルで会談し、参院選での「改選議席を含めて自公で過半数維持」目標を改めて確認したと報じられています。岸田前首相は昨年9月の総裁選で石破首相を支持しており、石破政権を支える重要な人物です。
しかし、岸田前首相は今年5月に出演したBSのニュース番組で、「(参院選後は)連立のありようをはじめ、いろいろな知恵を出していくことが求められる」と述べ、連立の組み直しを示唆する発言をしていました。さらに、6月25日にさいたま市で行った講演では、政権交代の可能性に懸念を示した上で、野党との連携についても言及しています。これらの発言を踏まえると、同日夜の石破・岸田会談では、単に参院選目標の確認に留まらず、”それ以上”の政治情勢や今後の連携について話し合われた可能性が高いと推測されます。
参議院選挙が目前に迫り、石破政権と自公連立は、昨年衆院で過半数割れしたことに加え、直近の都議選結果からも明らかな厳しい状況に直面しています。目標を「非改選含め過半数維持」とする控えめな設定自体が、衆院での劣勢を物語っています。今回の選挙結果次第では、自公連立のあり方が見直され、新たな政治勢力との連携、いわゆる「第三極」との協力も含めた、より広範な政治再編が議論される可能性が高まっています。選挙戦の行方が、今後の日本の政治の枠組みを大きく左右することになるでしょう。
【出典】https://news.yahoo.co.jp/articles/16e79a4dfbc84f1ec5a79a68aa5b9a574476c075